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おいしいアイディア

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考えたことなどをつらつらと。フードエッセイを読んだ感想も書きます。
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#おいしい文章

"Little MOTHERHOUSE 開発会議"に参加してきました

 銀座に初の専門店を構えて再始動する食のブランド、”Little MOTHERHOUSE”。【途上国から「食」の可能性を世界に】を理念に掲げ、小さな一口から途上国の魅力に気付くきっかけ作りをしている。数カ月の販売休止期間を経て、遂に新作が発表されるとのことで、私も「Little MOTHERHOUSE 開発会議」に参加してきた。ここに集まった全員が新商品を試食し、票を最も獲得したものに1位の称号を与えるので、雰囲気は正に会議。立ち上げメンバーの方が言う「みんなで創るブランド」

食への距離感は人それぞれ

 食欲は三大欲求の1つであり、世界がどう変わろうとも「食べる」という行為が変わることはない。とは言え全く変化がないわけではなく、生存欲求を満たす"動物的行為"に付随して、食を楽しむという"文化的行為"の側面が重要視されるようになった。これは時代の変化にも依るし、大人になるにつれて生まれる心理的な変化でもある。  何にせよ私たちに普遍的であることに変わりはなく、人間である限り関わらなければならない身近なものだからこそ、それぞれが持つ食へのスタンスが個性として見えてくるのだと思

チョコレートから途上国の可能性を開く #Little MOTHERHOUSE

 「途上国から世界に通用するブランドをつくる」ことを理念に掲げ、新たな挑戦を始めた会社がある。  MOTHERHOUSEはバングラデシュをはじめとした、所謂"発展途上国"に工場を持つアパレルブランド。その土地の素材と技術を使い、今まで見向きもされなかった各国特有の魅力に光を当てる。未だ気付かれていないが大きな可能性を秘めた「想い」を「かたち」にするのが彼らの仕事だ。  この魅力を伝えるのはそう簡単ではない。"途上国"と言うとどうしても心理的に同情が入り、モノ自体に焦点が向

イロドリチョコレートの食べ方 #Little MOTHERHOUSE

 Little MOTHERHOUSEが展開する「イロドリチョコレート」。スラウェシ島のカカオを使用したホワイトチョコをベースに、自然由来の素材で味と色を付ける。商品展開は12種類。それぞれが2種類の味で構成されていて、グラデーションで味が変化していくので12×2=24種類。2種類の交わる部分を含めれば24+12=36種類ものフレーバーを感じられる。  このチョコレートのテーマは「日本の四季」。四季と言っても4つ以上の感性を秘めているのが日本の魅力。その違いは、わざわざ立ち

遠慮のかたまりとは言いますが

 お皿に残った最後の1つ。俗に「遠慮のかたまり」と言いますが、言葉の響きには何だか寂しさを感じます。出てきた時は全員の注目を集め、それぞれの言葉を以て共有されていた美味しさ。別の料理が届くと先程の興味はそちらに移り、気付けば一番美味しいタイミングはとうに過ぎている。。  餃子は中華料理のセットとして付いてくるイメージがあるからでしょうか、より一層そんなことを思います。そんな寂しい状況に置かれた餃子も大理石調の黒いテーブルの上では凛と佇んでいるように見えたのでカメラをパシャリ

フードエッセイを書くということ

 言葉や文章とは形のないアイディアを形にしたもの。だからアイディアの数だけ存在し得るものだし、一つの決まった正解は存在しない。現代風に言うと全てが正解ということになるが、アイディアは人に伝わらなければ不正解になる。言い換えれば、答えはあるが見えづらい。"おいしい瞬間"をそのまま冷凍保存した、鮮度感のある"おいしいエッセイ"を届けたい私にとってはシビアなことだ。  「味」にだって形はない。砂糖は甘いし、塩はしょっぱい。他にも色んな「原味」があって、それが合わさると、とたんに表