僕たちはどう服を着るか、2021


みなさま

明けましておめでとうございます。
新年を迎えるにあたり、去年の総括や新年の目標の様な私事をわざわざ公表できるような偉い人間では到底ないのですが、緊急事態宣言の発令もあり、記憶の彼方に葬り去られようとしていたかつての閉鎖的な日々がまた戻ってくると思いますと自分自身をどうしても律する必要があり、備忘録的に簡潔に、ここに書いておこうかなどと思います。


SNSでは「私事ですがこの度〜」を枕詞に大事な報告をされる方が多く見受けられますが、SNSはそもそも私事を書き込むところでは、という解釈のもと、誰に向けるわけでもありません。



1. 2021年はよく考えて洋服を買うこと


過ぎた2020年は消費者として洋服と向き合うことを意識して参りました。18の頃に秋田の山奥に放り込まれて以来、洋服は好きでしたが機会に恵まれず、中々実体験として洋服に触れる事が難しい環境で多感な年頃を過ごしました。


その代わり洋服の歴史や知識などを貪るように求めていた為、実技的なものの前に洋服に対するスタンス的な部分、好きなテイスト、蘊蓄の方向性は確立されましたがいずれも机上の空論、洋服をあまり買ったことがないんだから仕方がない、という状態でした。


恐縮ながら満を持して大都会東京にお登りさせて頂いたので、昨年迄は手に入れたい、と思った洋服は後悔のないようにあまり考えずに買うようにしており、自分の中での醸造が遅れていた「消費者としての洋服への取り組み方」の急ピッチでの組み立てを行なっていました。(これを言い訳に買い物をしまくっていたのみですが…。)この3年間で到底恥ずかしくて人様には申し上げられない額の金銭を布に費やした訳ですが、ここいらでその取り組み方も一度節目とし、2021年はワードローブを研ぎ澄ます方向で調整したい、と思うばかりです。


などと申し上げつつ、この三が日は2日から高円寺の某ヴィンテージショップに開店前日の昼から並び、寒波が猛威を振るう中鳥海山でキャンプをするかの如き防寒対策のもとアスファルト上で野宿をし、翌日昼には2021年最初の散財をめでたく済ませております。大丈夫、これはワードローブを研ぎ澄ますためのよく考えた買い物他ならないので…。



2. ひとつの洋服により深く向き合うこと


上の目標に通ずる事ですが、ワードローブを絞っていくという事は、必要なものがあれば買い足しますが、当然手持ちの洋服たちは基本的には減らしていく方向で調整を行う想定でおります。


何故減らす方向である必要があるのかというのも、自分は毎度毎度一生ものと謳いながら洋服を部屋に連れ込むものの、気分が変われば売り払い、また新しい服を買う、それも売るときには「好きな服なので出来るだけ仲の良い人や信頼できる人に譲りたい」などという自己防衛までつけてです。そんなふしだらな洋服との付き合いをしてきた自らに対し、これまで一着の服に対してどれ程真剣に向き合ったことがあっただろうか?という戒めを感じ、2021年からは自分を包んでくれる手持ちの服に対してもっと真剣に向き合わねばと思うのです。


あんな格好がしたい、こんなものが欲しい、という刹那的な欲求で私は様々なテイストの洋服に手を伸ばしてしまいがちですが、それはもしかすると手持ちの服への理解が乏しい故、翻って理解が深ければ深いほど、一着の服の活かし方や手持ちのワードローブの組み合わせの幅は累進的に増えていくのでは、と思った次第です。


とはいうものの、自分のワードローブを覗いてみると、白、黒、灰色、茶色…インスタ映えが命のこの現代で、モノクロ写真のような喪に伏した構成となっている事に老いを感じます。



3. 心身共に健康であること


こんな事を目標に掲げるとは自分もいよいよアラサーとしての自覚が芽生えたのか、などと思いますが、何が私の心身を健康にするのかというと、やはり洋服な訳であって、健康的な食事や適度な運動ではなかったのかなと最近になって気付くことが出来ました。


2020年の良かった自分の変化・新たな試みとして二つあるのが、一つは家具やインテリアにお金をかけることができるようになったこと、もう一つは美容にお金をかけることができるようになったことです。これまで生活の全てを蔑ろにし、有り金全てを洋服に注ぎ込む極めてラディカルなライフスタイルを貫いてきた自分にとって、課金のポートフォリオのバランスが、割く金銭的には微々たる変化ですが、割く気で言えば多大に推移しているという事はごくごく個人的には大きな変化であったと思うのです。


上で記した通り、これからの自分の洋服への取り組み方としてはワードローブを研ぎ澄ますという事ですが、これは何処からモチベーションを得ているのかというと、これまで洋服に生かされてきた自分の在り方を、洋服をライフスタイルの一つとして消化する取り組み方に変えていきたい、などといったところです。


実際インテリアに凝り出したのも、洋服が置いてあって映える生活環境でありたいというところから、美容に凝り出したのも美しい洋服を着るのであればこれから老い朽ちていく自らの姿に最低限の清潔感を保ち続けたいというところから、詰まるところ、自分の納得のいくように洋服に取り組んでいきたいと言うところなのです。


ところが、インテリアや美容に凝り出してみたところ、あくまで副産物的にではありますが、予想外のメリットが生じたのです。自らがよくよく選んだ可愛らしいインテリアに囲まれた生活は、家に閉じ込められるこのご時世、自らのメンタルを穏やかに保ってくれました。様々な化粧品を神経質に日々顔に塗りつけていると、ルンバが掃除をしやすいように掃除を予めしておくような話ですが、そもそもの肌荒れの原因を摘むんでしまおうと脂濃い食事を避けたり、深夜に帰路に着いた日の入浴、洗顔を怠らなくなり健康状態が良くなりました。


要するに、今のところこの「心身ともに健康である」という事は引き続きインテリアに金をかけ、美容に気を払うという事に言い換えることができますが、本質的ではないにしろ、洋服とより深い付き合い方を意識した際に、洋服以外のライフスタイルが変わっていくのを実感するに至りました。同時に、これは洋服とより深く向き合い、研ぎ澄ませていった結果、自らのライフスタイルが自分の場合は洋服を中心に、生活環境、ヘルスケアなどといった部分から一貫性を帯び始めているのでは、と思ったのです。


この良かった変化を、2021年も継続して発生させていきたいとふむふむと思いながらも、まともな感覚を持ち合わせれば物心ついた時からわかっている「心身ともに健康であること」の重要さに今更気付いた自らの精神年齢と実年齢のギャップに少々辟易するのでありました。


以上が今年で齢27になる男の目標かと思うと如何程に稚拙なのかと思いますが、自分が素直に2020年を取り組んだ結果なのです。昨年は大変な年でしたが、大変ながらに環境、マインド、身体に様々な変化が起きた年でした。相変わらず洋服の事ばかりを書いてしまいましたが、今年度の第4四半期は業務の繁忙が見えており、昨年のように高熱を出して渋谷区役所で倒れ込まない程度の体力を先ずつけたいと願う年始でありました。

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