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Aqua Timez ラストライブレポート④


アンコールに迎えられたメンバーたち。ボーカル太志の「サビを歌ってほしい曲がある」というお願いが。

まだ歌っていない楽曲の中でファンとともに歌えそうな曲は「決意の朝に」「虹」のどちらかと考えていました。しかし選ばれた曲は「しおり」だった。

三ツ矢サイダーのCMソングとして有名な初期のシングル。きっとここにいるファンたちなら歌詞に詰まることなく歌えると思うが、それでもこの曲が選ばれたことに驚きだった。

この「しおり」。本に馳せるしおりのことで、まだ自分の中で物語は終わっていないという失恋ソングだ。

そよ風の帰り道 悲しくなんかない ただこの空を見て思う 今日もあなたが好きでした


Aqua Timezの活動が終わってしまってもあなたたちの心では終わらせないでいてほしい。
そんな切なる願いが込められているようで涙がこぼれた。


ここでMCに入り、忘れていたとメンバー紹介。ここでメンバー一人一人の想いが吐露される。

開演前の円陣の前で泣いていたというリーダーOKP-STARから。こんな多くの人たちがバンド史上最大規模の横浜アリーナを埋め尽くしていることが奇跡で、だからこそ最後の最後まで悔いの残らぬよう演奏することを約束してくれた。

ギター、大介は一曲一曲が走馬灯のように駆け抜けていったこと、自分たちもAqua Timezの楽曲に救われていたこと、実はファンの人たちの方が楽曲を理解してくれているのではないかと伝えてくれた。

その中で「小さな掌」の演奏中に人知れず涙していたことを語る。この楽曲はツアー中に喉を傷めてしまいライブの延期を余儀なくされた太志がそれでも支えてくれるファンのためにどうしても伝えたいと作った一曲。事務所のテーブルに集まりああでもないこうでもないと曲を完成させていった当時を思い出して涙していたそうだ。

結成から15年。これだけやっていると色んな記憶、楽しかったこともつらかったこともたくさんある。一つ一つがかけがえのないものでそれらを思い出すための一日だと熱い胸の内を明かしてくれた。


その大介のMCですでに涙声のキーボードmayuko。

実はAqua Timezのデビュー前にはまた別の事務所の人がデビューの準備をしてくれていたという過去を話す。しかしデビュー予定日の直前に突然音信不通となって連絡はとれたものの、デビューは中止。
おそらく誰も知らなかったであろう過去を話す。本当にデビューがしたくて努力していたから傷ついたこと、そんなことがあって今ここ横浜アリーナでバンドの最後を大勢の人たちが見届けてくれることがどれだけ幸せか、聞いているほうも涙が止まらないくらい一生懸命に伝えてくれた。


ドラムのTASSHI。バンドのまとめ役であるTASSHIはこのライブの数日前に実は演奏中にドラムスティックを握る手に力が入らなくなるような病気になっていたことをファンサイトで告白していた。

ここまでAqua Timezの一員として素晴らしい音楽を届けてきた自負があると伝えてくれ、その中で生きるということが人を想い想われること、人を信じ信じぬくことと伝えてくれた。そして自分がAqua Timezのドラムとして生きてこれたことは何があってもいつも待ってくれていたファン、病気になった自分を代わらず支えてくれたメンバーやスタッフがいたからだと涙ながらに伝えてくれた。

いつもはメンバーやファンにいじられながらもバンドをまとめてくれる男の涙には本当に胸を打たれた。

ボーカル太志はメンバーの想いが聞けて良かったことをつぶやくと、自分が話すと泣いて歌えなくなると言葉を歌に代えてくれた。

「真夜中のオーケストラ」

僕にはまだ あきらめていない再会がある 約束がある


この歌詞に、またこの5人と同じ場所で出会えるのではないかと希望を持たずにはいられなかった。
ラストサビには星形のメッセージカードが降ってきた。彼らの想いのようにやさしくやさしく舞い降りていった。


彼らの最後のアルバム「二重螺旋のまさゆめ」。このアルバムに込めた思い全てが詰まっていると「over and over」を披露してくれた。
解散の決定からタイトルが変わったという一曲。

君を独りにさせようとする言葉なんか聞かなくていいんだよ
音楽を聞こう 歌を歌おう 思ったよりこの星は淋しくないはず


最後の最後までAqua Timezでいてくれた。


そしてまた舞台袖にはけていくメンバー。暗くなる会場。
バンド史上初のWアンコール。

なぜここで終わりだと思わないのか。まだ聴いていない伝えてもらっていない楽曲が残っていると会場の全員がわかっているからだ。


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