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”遥か遠き家” - 2023/04/11 日記#120

・ヘッダー cr. @c_canna

・本屋さんで見かけたその時からずっと読みたくて、1年越しくらいにようやくゲット。あの時感じた「この本好きかも」の直感は間違ってなかった。

・この手のストーリーの本が増えてくれたら嬉しいんだけど、最近の傾向では多分無理だろうね。

・内容は完全にロードムービー。一昔前の映画を見ているようだった。登場人物は日本人じゃないので邦画では難しいだろうけど、実写化しても全然変な違和感のないお話だと思う。

・『モーリス』とか”CMBYN”とか『マイ・プライベート・アイダホ』とか『ブエノスアイレス』とか、とにかくそういう感じ。この手のゲイ洋画が好きな人には好まれる作品だと思う。

・ただまあ、辛いかと言われると、衝撃はそんなになかった。展開的にはよくある、予想がつく展開。全然泣くほどではない。私の強化された涙腺は、こんなもんじゃまったく揺るがないよ。

・もっとこう、生まれながらに短命であることがわかっている我が子に、「死に怯えて生きろ」って呪いをかけたり、愛する我が子に「お前を産んだのは間違いだった」と言い捨てたり、友達が全員燃えて灰になったのに一人だけ残されたり、165分割になったりして欲しい。

・それこそ、前述した映画や鬱作品など、あまりを見たことがない段階で手に取っていたら、この本は宝物になっていたのかも、と思う。鬱作品ではないけど、多田由美さんの『レッド・ベルベット』を読んだ時も同じ感想を持った。

・絵柄はとても綺麗。最近気づいたことがあるのだけど、ここ数年でweb漫画を投稿しているアマチュアの人たちの作品がヒットすることが増えてきていて、言葉を選ばずに言うと、あまり絵のうまくない方もいらっしゃる。

・とはいえもちろん何の素養もない人たちと比べたら十分上手いし、それも画風だし、内容と絵柄の相性もあるし、一概に絵が上手いだけが基準ではない。むしろ、絵が極端にうまくなくても、ストーリーさえ面白ければ売れる時代というのは良い傾向なのかもしれない。

・だけど、やっぱり私は表情や細かい描き込みに感動するタイプなので、どちらかというと写実的でお耽美な絵柄の方が好み。

・”戦メリ”や『エデンの東』を見てからキリスト教も勉強しなきゃとは思っているんだけど、中々興味が湧かなくて、ずっと後回しにしている。この作品もキリスト教がかなり鍵。

・出てくる大人たちが一部を除いて本当に、人間味溢れる嫌なヤツばっかり。改心もしないし、どこまでも自分本位。最高すぎる。

・そんな大人たちに囲まれて、あがきながら生きる二人の青年。二人は被害者だけど、同時に、事情を加味したって許されることのない罪も抱えていく。

・この作品を検索すると、サジェストに『BANANA FISH』が出てくる。確かに、アッシュと英二も唯一無二の、愛情とも友情とも家族ともつかない、強い絆で結ばれた関係性だった。ヘイデンとアランはもう少しフランクで、名前のつけやすい関係に思える。

・比べるにはやっぱり『BANANA FISH』の内容が厚すぎるかも。ゆっくりと関係を育んでいき、紆余曲折ありながらも二人で色んな事件を乗り越えた、アッシュと英二のような重みはない。『遥か遠き家』は単行本1冊での完結だからね。

・関係ない。明日ナヒーダに会えると思うと楽しみで楽しみで。


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