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空虚からの脱出

平成時代、日本は経済的には大きな後退をした。そして少子高齢化。
この時代に育ち、社会に出た世代はそれまでの社会構造の変化に伴い、なかなか厳しい状況だった。
社会的なポジション、肩書で自分に自信を持たせるのが難しい状況だったと思う。


そんな中でも、自信を持って、堂々と逞しく生きていかないといけない。
なかなかのハードモード。


失われた20年とか言われて経済的には確かに衰退した。
でも、経済だけが豊かさの指標ではない。人を評価する為の指針ではない。

経済的な自信、お金を稼げるという自信。
それは戦後の高度経済成長期においてはセットだったかもしれない。それは確かな自信であったと思う。
しかし、平成の大不況。企業はリストラもしたが、主には新規採用を絞った。
既に雇用している社員を切るより、新しい雇用を減らすことを考えるのは合理的だと思う。
そういった雇用の年代別の構造変化があったことは間違いない。
既に採用されたていた年代の層はそこから立ち退こうとしない。
新しい雇用の間口は狭き門。
上の年代からすると若年層は自分たちが当たり前に出来たことが出来ないように見える。
普通に就職し、普通に働き、普通に稼ぐことが。

ここに世代間のギャップが生まれた。
若者はガッツが無い。やる気がない。
最近の若い者は・・・という昔々から続く枕詞で若者は切り捨てられてきた。

自信喪失の世代。
そんなイメージも付きまとう。
僕もその世代の一人。社会に出たのが90年代後半。
ほぼほぼ失われた期間しか知らない。
昔は凄かったという、先輩方の話しか聞いたことが無い。
そんな時代に生きてきた。

失われた、とは言われるが、その時代を生きた感覚としては失った感覚は無い。
失うことが出来るのは、一度得たから。一度も得ていないのだから、失うことは出来なかった。

つまり、失ったと言っているのは社会の方。
一般化した日本人側の感覚。
僕個人は得ることも、失うこともできなかったかもしれない。

そこにあったのは、空虚さだった。

空虚さの中から、何かを得るということは難しい。
そもそもないのだから、どこへ向かっていいのか分からない。
空虚、空っぽ、虚ろから、何かを得ることなんてできるのだろうか?
ふつう、ただただ、途方に暮れる。

実際に途方に暮れた人も多い。
僕も途方に暮れた。

しかし、しかし、思った。
ここで終わってたまるかと。
ここ二十年で何度も思った。
ここで終わってたまるか。
最後はここしかなかった。
ここで終わるわけにはいかない。

何も得ていない、失うことさえ出来ない、空虚さのなかに閉じ込められても、まだ、心は叫んでいた。

ここで終わるわけにはいかない。
もう一度立ち上がろう。
失うなら、ちゃんと得てから。

得るもの、得たいもの、それはいったい何だろうか?
それまでは単純に経済的な成功だった。
数字で証明することも出来た。
もし、この経済的成功のモデルが指標として使えないのなら、次はなんだ・・・?
経済の力、お金に変わる力・・・?
経済の力は、自分に数字(お金)という信用がある。数字を持っているのは社会的信用の証。だから周りは動く。
社会的価値を持っている人は、これから先もその社会的価値を生み出してくれるだろという信用。
数字がその人の過去の信用を表現しているということだ。

過去、つまり実績が今を未来を作るという考え方が前提にある。
でも、もうこの考え方の中にいては空虚さから逃れることは出来ない。
この考え方は上の世代がしっかり囲い込んでる。見えない檻が存在する。

それに対抗するには、未来が、更に言うと未来を描く意志が今を作りそれが過去として表現されていく。
という世界観が必要だ。


未来を描く意志の力。この意志の力をどう表現するのか?

それが、小さな小さな自分との約束。
小さな小さな意志を積み上げる姿だ。
大きいことばかりを求めない。
小さくてもそこに自分の世界観があればいい。

自分の世界観、そこで示すのは、未来を描く意志だ。
大きさは関係ない。意志が今を未来を作っているという現実をこつこつ積み上げるのだ。

それだけだ。
それが空虚さから脱出する方法。


ここで終わるわけにはいかない。
そんな思いはどうしても、逆転一発を願ってしまう。
でも、そうではない。
空虚をひっくり返すのは、世界観をひっくり返すこと。
空っぽ、虚ろ、と思われた過去の反対側。未来には満ちた、真の力が溢れていたと気付くこと。
その気づきをひとつひとつ集めて現実に証明していく。
そういう、働きかけが必要になってくる。未来から信用が流れてくる。そのことを今で受け止め証明する。

きっと、今この流れに気が付いている人は新しい感覚、風を感じているはずだ。

自信を持って進もう。

意志の力、信じ続ける強さが瞬間瞬間を作っている。
決して過去、実績の延長で今を作っているのではないのだ。
そこでは真の創造性、創造力が発揮される。
今出来ることをコツコツやっていこう。

一歩一歩未来がこちらに近づいてくるから。