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新説!邪馬台国の真相12>>>>

新説!邪馬台国の真相12>>>>
封印された神の社

前項で、邪馬台国は宇佐~中津平野一帯にある、という答えを出しました。
でも、ここが本当に邪馬台国なのか、裏付けをする必要がありますね。ではもう少し踏み込んで、卑弥呼の居場所まで探れないか、検証してみましょう。

まずは中津平野一帯の弥生遺跡。
残念ながら、ここは弥生時代の先進国とは言い難く、その遺跡も福岡県・佐賀県と比べ、多くはありません。
しかし近年、宇佐市小部(こべ)遺跡から、古墳時代前期の大型建物跡を示す柱穴が出土したことが分かりました。弥生時代終末期〜古墳時代にかけての遺跡。すぐ近くに4世紀初頭の赤塚古墳があり、古墳と居館がセットで確認できるのは全国的にも珍しいようです。まだ調査中であり、ここが卑弥呼の宮殿とするのは時代が50年ほどズレているので、なんとも言えませんが、今後の分析が待たれるところです。
もっとも、これまで検証してきたように、そもそも邪馬台国は決して人口が集中する大国ではないと私は思っていますので、遺跡の大小から直接的に判断するのではなく、伝承や風習、考古学的な出土品などからも判断していくべきと考えます。

そこでひとつ、古墳や遺跡ではありませんが、たしかに気になる場所があります。まずは一見、邪馬台国とは関係ないと思えるこの話から聞いてください。

かつて、古代天皇のヤマト政権は出雲国を攻め、併合してしまいました。時代にして推定4世紀末~5世紀。日本神話をかじった人なら、おわかりでしょうが、その件は『国譲り』の神話に書かれてあります。
高天原にすむ天つ神・アマテラスの使者が、国つ神であるオオクニヌシのおさめる豊葦原水穂国に行って、
「この土地が気に入ったから、私達にくれ」といいます。
するとオオクニヌシは
「あい、わかった。土地をあげるから、そのかわり自分をとても大きな、天にもそびえる社に祀ってくれ」
と言うんですね。それで双方合意ができ、天つ神はその地を手に入れ、オオクニヌシは神として、出雲大社に祀られることとなった……と。

でも、たいへんおかしな話です。オオクニヌシにわりが合わない。土地を明け渡すので、自分は ただ祀ってくれればいい、とは…。つまりこの話は、ヤマト政権が出雲国を支配下におさめたときの伝承であると解釈すると、合点がいきます。要は、ヤマト側が勝利し、出雲側がその傘下に下ったわけです。でも、なんで負けた側が「神」となるんでしょう?

実は、ここが最も日本的な考え方だと言えます。
怨霊信仰とも言うべきでしょうか、勝者は、負けた者に対して、
「私達はあなたたちを大切にしますから、化けて出ないでくださいよ」とし、敗者を神としてあがめ、社をつくる。
たとえば、菅原道真が非業に死を遂げたので、”これ以上祟らないように”、学問の神「天神さま」として祀っているのは、有名な話です。ここでも同じことが言えるんじゃないかと。その証拠に、出雲大社では、お賽銭を投げる時の、参拝の仕方が変なのです。
通常の神社の参拝方法は「二礼二拍手一礼」ですが、ここでは
「二礼四拍手一礼」(2回おじぎ、4回手をうつ、1回おじぎ)
そして、社のしめ縄のしめ方が、普通の神社と左右逆になっています。
 
四は死と同じ音、つまり死に通じます。
昔のひとは、科学のない時代、言葉の響き・言霊を極端に大切にしていました。言葉には力があって、その言葉を言うと、現実もそのようになってしまう、と昔人は真剣に考えていました。そんなバカな、非現実的な、と思うかもしれませんが、今もそのなごりがあります。
たとえば結婚式のスピーチに
「きれる」とか「わかれて…」なんていう言葉は、タブーだし、受験生に「落ちる」「すべる」もタブー。つまり”現実にそうなってしまう”からです。
また平安時代の貴族たちの恋は、たとえば気にいった女性の名前を聞いても、彼女は絶対名前を名乗りませんでした。だから「月下の君よ」とか勝手にニックネームをつけて呼んだりしたんですが、もし彼女が名前を名乗ったらどうなるか。それが最後、「あなたの愛を受けて結婚します」という意味になってしまうのです。つまりそれだけ言葉に言霊が宿ってて、名前を言う=自分をさらす=身も心もその人にさらけ出す、っていうことになります。

おわかりでしょうか?日本とは、元来そんな思想が横たわる国。だからこそ、神がいる神社に、「四」=「死」を暗示させる儀礼は、どう考えても異常です。
つまりこれは、死を暗示させることで、征服されたオオクニヌシの念を、黄泉の国からよみがえらさぬようこの社にとどめさせる、封印する、といった意味があったと考えた方が自然です。しめ縄も同じく、外界からのモノを聖域に入れさせないように縄をはり、結界を作るのではなく、内界のモノを外に出さないために縄をはる、結界。出雲大社はそんな暗示がこめられているわけです。


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