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Surume Interview Vol.1:野外映画フェス「夜空と交差する森の映画祭」プロデューサー・サトウダイスケさん

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映像制作を主としたEnologue Inc.を立ち上げるだけにとどまらず、デザインやウェブサイト制作などさまざまな分野で活動の幅を広げるサトウダイスケさん。(以下サトウさん)。

主な活動である五感をフルに使って楽しめる野外映画フェスのプロジェクト「夜空と交差する森の映画祭」は今年で6年目を迎えます。

そんなサトウさんに、プロジェクトを始めたきっかけや、日常とSNSについての考え方を伺いました。

1万人以上を動員する野外映画フェスができるまで

―そもそも「夜空と交差する森の映画祭」を始めた理由は何だったのでしょうか。

サトウさん:大学生の頃、映画をつくって映像コンペに出していたのですが、内輪だけで完結してしまうのが物足りなくて。「業界人の中で注目される」「賞を獲る」という観点では良いけれど「色々な人に観てもらう」までには至らないのが問題点だと思っていました。

―確かに、波及できる範囲は限られてしまう印象です。

サトウさん:そんなとき、音楽フェスに行き「映画の分野でも同じことができないかな」と感じたんです。
メジャーバンドに興味がなかった場合、違うステージに行って普段聴くことがなかったインディーズのアーティストとも出会える。その「偶発性」こそがフェスの魅力だと思って。

森の映画祭2017(ナカムラ) (27)_R

―なるほど。今までまったく知らなかったアーティストと出会えるのはフェスならではの醍醐味ですよね。

サトウさん:映画でも、メジャーの傍らインディーズ作品をつくっている人はたくさんいるので。既存の映画祭とは違う、彼らの作品を「観てもらう」場所や手段として“フェス”が最適だと思ったんです。
主にインディーズ作品を上映する「夜空と交差する森の映画祭」から派生したのが「森の上映会」「空の上映会」で、こちらではメジャー作品を多めに上映しています。

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―イベントの認知度もかなり上がっていますが、今後チャレンジしていきたいことはありますか?

サトウさん:ありがたいことに、イベントは総計1万人以上動員し、運営の仕方やコンセプトも決まったので、一般の方にインディーズ作品を観てもらえる空間はつくれるようになったと感じています。
なので、今後は家に帰った後も「インディーズの映画を観たい」と思っていただけるようなきっかけづくりをしたいですね。「インディーズ映画」の文化を「インディーズ音楽」並の知名度に持っていけたらと思います。

―インディーズ映画を、インディーズ音楽並の知名度に…?

サトウさん:はい。たとえば、TSUTAYAにインディーズ音楽のコーナーはありますが、映画のコーナーはないんです。一般の方がつくっているような映画がTSUTAYAに並んだり、Netflixに流れたりするのでもいい。「作品があるのに観てもらえていない」という状況を打破していきたいですね。

ー映画市場がもっと広がっていく。わくわくする未来が待っていそうです。

サトウダイスケさんとSNS

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―ところで、「夜空と交差する森の映画祭」も多数SNSに取り上げられていますが、サトウさんはTwitterを中心に使用されているそうですね。SNS疲れなどはないのでしょうか?

サトウさん:はい、むしろ思ったことを全部つぶやく人は感情がもろに出るので、わかりやすくていいですね(笑)でも、ネガティブなつぶやきばかりする人はフォローしないですね。フォローしたとしてもミュートするかな。「見たくないものは見ない」ということもできるから、SNSはそれがポイントですよね。

ーSNSとのほど良い距離感が保てているんですね。

サトウさん:自分はリアルでも「無理をしない」ようにしているんです。疲れるのでコミュニティに入らないし、いわゆる「いつめん」(※いつも一緒に過ごすメンバー)がいない。仲の良い界隈はあるけれど、年1回程度しか会わなかったりします。「顔を出さなきゃ!」という焦りがないので、SNSでもリアルでもコミュニティ疲れがないのかもしれません。昔はあったんですけどね。

―昔はなぜ疲れがあったのでしょうか。

サトウさん:「頑張って顔を出さなきゃ」という思いがあったんです。そのとき「色々無理をしたり、負荷をかけるのはやめよう」と決意したので、距離感を保つのが上手くなったのかもしれません。昔はいくつもコミュニティを持っていたので毎日飲みの誘いがあったのですが、最近は映画祭が忙しいのもあって、断り続けていたら声がかからなくなりました。結果論ですが、正直今がちょうど良い感じです。

―肩肘を張って、無理しすぎる必要はない。自分が自分でいられることが何よりも大切ですよね。そんなサトウさんですが、日常をどのように過ごしていますか。

サトウさん:「来月は海外旅行に行きたいから頑張るぞ!」という目標はあえてつくらず、その日その日を等身大で過ごしています。
終電まで仕事をして終わるのが7割、2割は飲み会、1割は「今日は映画を観よう」「テルマー湯に行こう」みたいな。「休む」と決めることもストレスになるので、その日の気分によって過ごし方を変えていますね。映画祭を実施する過程でさまざまなことが満たされているので、趣味といえるものが年々減っています。

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―仕事と日常の垣根がない印象ですが、その点についてはどうですか。

サトウさん:映画祭が好きでやっているので、まったく苦ではないんです。また、イベントに「作家性」や「アーティスト性」を部分的に出すようになってから、クリエイターとしての自己承認欲求が満たされるようになりました。イベントオーガナイザーというよりも、イベント自体を作品づくりしている感覚が強いですね。

―お忙しい日々かとは思いますが、サトウさんにとって、日常生活を大事にするツールは何ですか?

サトウさん:温泉と、サウナです。業界用語で「ととのう」というんですけど、サウナ室(または温泉)→水風呂→休憩の工程を4回くらい繰り返すと、頭が真っ白になり、初期化されてリフレッシュできるんです。瞑想に近い感じかな。物事の見え方や考え方が変わるので好きですね。

―その時間は、PCやスマホも持ち込めませんしね。

サトウさん:そうなんです。仕事で何かのコンセプトを考えるとき、ネットで色々調べて参考になるものや発想の糧になるものを見てしまうけれど、温泉やサウナではそれができないので。自分の脳内の深層にあるものを無理やりひねり出す時間は大切だと思っています。
映画が好きな理由にも共通するのですが、すべてを忘れられる。少なくとも、その時間だけ集中できたり、リフレッシュできる。温泉でいうと「温冷浴」に近いと思っています。

―サウナに行きたくなりました...。「自分を見つめ直す」のに一番おすすめの方法ってありますか?

サトウさん:家に眠っていて読みたい本や、好きな本を1冊持って、テルマー湯に行ったらいいと思います。スマホは着いたらロッカーに入れる。
特に、朝風呂に入って、本を読んで、また風呂に入るというのを2〜3回繰り返すと、かなりリラックスできると思います。

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―ああもう今すぐサウナに(以下略)読者の方にメッセージをお願いします!

サトウさん:SNSもそうですが、何かをやるうえで縛られすぎるのはよくないと思います。もっとフラットに「こういうことをしてみたい」という思いで動いてみるのもよいのではないでしょうか。やりたいことをやりたいように、ストレスなくやっていく。みんなができることではないけれど、そうやって生きて行くのもいいかもね、という感じです。

まとめ

着々と映画祭の実績を積み上げながらも、決して驕ることなく日々等身大で生きるサトウさん。
「やりたい!」と思った気持ちをそのままに、まずは動いてみる。行き詰まったら、スマホを置いて"日常"からちょっと抜け出す。もしかしたらその先に、何か新しい出会いが待っているかもしれません。

サトウダイスケさん公式Twitter
森の映画祭プロジェクト ポータルサイト
サトウダイスケさん ポートフォリオサイト

Surume Key

日常生活を大事にするコツは
・自然体で、何かに捉われすぎずに生きること。なるべく無理はしない
・スマホはロッカーへ!温泉とサウナでリフレッシュ!



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