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【マインド】選ばれる恐怖

また自分の異質さと向かい合って座らなくちゃならない。
私は「選ばれる」ということがすごく苦手だ。

人間は集団において「選ばれる」ということで
特権や快楽を得てきた生き物ともいえる。

私はというと小さい頃に選ばれた経験がある。
それは犯罪の被害者として、もしくはいじめの対象として。

幼稚園の頃に近所の男の人が毎日つきまとっていた。
幼い私は何もわからずにその人の言われるがまま
いつも部屋に連れていかれては性器を押し付けられていた。

記憶は曖昧だ。親には言ってはいけないことをどこかで理解していた。
もちろん友達にも言えないし、言ってもわからないと思っていた。

ある日、友達と遊んでいるとその人が
私のその場で押し倒すということがあった。

とうとう頭がおかしくなって、公然と猥褻をしたのだろう。
友達は驚いて泣きだし、私を取り残して逃げて行ってしまった。

悲しかった。

とにかく私を辱める男と、私をおいて逃げ出す友達を目の前に
私は自分の所在を全消去してしまった。

悲しい気持ちを抱えた私は鍵付きの扉の奥に閉じ込められた。

そこから『この人もストレスがあるのだろう』
『友達も怖かったのだろう』と自分の記憶をすげ変えていった。

大人で理性的な自分が弱く傷ついた私の代わりをしてくれた。

私は小学生にあがるころ、大人たちにもてはやされていた。
大人の事情を全部飲み込む都合のいい子どもとして。

学校の成績は優秀、親に手間をかけることもないし文句も言わない。
だってどうでもいいから。

中学に入ると先生どころか不良にまで気に入られた。
不良が何をしていようが否定もしない。だってどうでもいいから。

誰かが誰かを傷つけてるのをみても「やめなよ」というだけで
自分の手は汚さない。先生に告げ口して大きな力を使ってもらう。

高校に入るとすぐに彼氏ができた。
なんてことない言う事を聞いてくれる都合のいい女だからだ。

わがままなことはいわない。だってどうでもいいから。

私が人とつながるときに
だってどうでもいいからという単語が並ぶ。

部活に入る。選抜に入りたい同級生からいじめにあう。
圧倒的に私の方が強いのに、その人は根回しだけで選抜に入った。
まるで政治家のような立ち回りをする人を見て部活をやめた。

私を選ぶやつがいる部活なんてどうでもよくなった。


高校生になると自分が自覚的に何かを選んでいることに気づく。
他の人が選ぶことなんてどうでもいい。
そうすることで、選ばれてしまった自分を否定していく

いじめられてやめてしまった部活は
大人のサークルに入って練習するほど必死でやっていた。
どうでもよくないなんて大嘘だ。

誰にも邪魔されずに自分の実力を試せるスポーツが
とても大好きなくせに。

オリンピックも甲子園も、全部大好きなくせに。

部活をやめてはじめたバンドも
歌がある程度うまいという理由で「選ばれて」しまった。

流行っていたジュディマリの歌を必死で練習した。

しかし、クラスの目立つ子たちからは
「なんであんたがYUKIちゃんのポジをやるのか」
と言われた。どうでもよかった。

どうでもいい。どうでもいい。どうでもいい。
どうでもいい。どうでもいい。どうでもいい。
どうでもいい。どうでもいい。どうでもいい。
どうでもいい。どうでもいい。どうでもいい。
どうでもいい。どうでもいい。どうでもいい。
どうでもいい。どうでもいい。どうでもいい。

お前たちの存在なんてどうでもいいと叫んでいた。
そして、私の存在なんてどうでもいい。と。

とにかくこの世のすべてがどうでもよかった。

選ばれるなんてまっぴらごめんの私が
辿りついた言い訳は「選ばれること」を「自ら選ぶこと」だった。

これは自分の意思だ。選ばれることを選ぼう。
そういい聞かせることで、この世をどうでもよくないものにしたい。
投げ出したくない。必死にあがくことになにか希望を見出していた。



最後までお読みいただきありがとうございます、今日もいいことありますよ!