カードマジック教室 第2回
1948年に発行されたヒューガード&ブラウエ著『ロイヤルロード・トゥ・カードマジック』を中心にわかりやすく現代的に翻案し解説していきたいと思います。前回はオーバーハンドシャフルの基礎と基本、実演としてポーカープレイヤーズピクニックを学んでいただきました。
https://www.youtube.com/watch?v=-KQuviHXnlY
これは原著には書かれていませんがスティーブ・ベルチュー(Steve Belchou)の作品です。また原案では最初にセットしておくのではなく、客から借りたデックを使います。初心者に教えるためにそのように変更いたしました。原案はいずれまた改めて解説いたします。
今回のテキストは2020年2月9日(日)にマジックバーサプライズにて行われたマジック教室で配布されたテキストです。
なお注釈として専門用語を端的に述べていますが、これは氣賀康夫編『カード奇術用語辞典』から引用しております。
オーバーハンドシャフル(overhand shuffle)②
トップとボトムを維持するやり方
(Retaining the Top and Bottom Cards in Position)
1. パック全体を右手で握り、持ち上げますが、左親指でトップカード、左中指と薬指でボトムカードを押さえるとトップとボトムの2枚が左手に残ります(図1)。トップカードはボトムカードの上になり、そのまま全部シャフルをします。
2. アッパー・サイドを軽く何度か叩き、デックをそろえたら、もう一度トップとボトムを除くすべてのカードを持ち上げて全部シャフルします。最後の1枚が元のトップカードです。
シャフルする最初の動作、すなわちトップとボトムが一緒になる際、手と手が離れすぎないように注意してください。あくまでも軽いタッチで行うのです。この技法の価値はボトム2枚、トップ1枚を覚えておけば、これら3枚のカードをコントロールできることです。楽に確実にできるようしっかりとこの技法を練習してください。
◆upper [アッパー]上の
トップストックの保持
(Retaining Top Stock by the Overhand Shuffle Control)
オーバーハンドシャフル・コントロールは、カードをシャフルしているように見せかけながら、トップにストックした何枚かのカードを保持する際には非常に便利です。
これを行うには、右手で下半分をアンダーカットし、シャフルの最初のカードを左親指で引き出しインジョグします。それから残りのパケットをシャフルし続けます。ジョグカードの下半分をアンダーカットし、左パケットの上に放り投げます。一見カードを混ぜているように見えますが、目的のストックされたカード数枚はトップのままです。
◆stock [ストック]ある特定な位置(トップとかボトムとか)に置かれた何枚かのカードの束
オーバーハンド・フォールスシャフル(Overhand False Shuffle)
特定の順番に並べた状態をセットと言います。セットした状態でマジックを演じても充分効果を発揮するかと思いますが、客にセットしたカードを使っている疑念を持たれる可能性もあります。そこで演じる前にシャフルをすることでその疑念を打ち消すことができるのです。本当にシャフルをしてしまえばセットが崩れてしまうので、セットが崩れないためのシャフルを覚えておきましょう。
1. デックの下半分をアンダーカットして右手に保持し、オーバーハンドシャフルを始められるようにします。
2. 元の上半分に5枚ランし、残りのパケット全部を0.5~1cm客側にジョグ(アウトジョグ)します(図2)。
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