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1人オールスター感謝祭

街中を歩いているとすれ違う人とよく目が合う。

みんなが自分を見ているように感じる。

有名人になったのかと錯覚してしまうことがあるがたぶんそうではない。

原因は、自分がすれ違う人のことを見過ぎてしまっているのだと思う。

相手からこっちを見てくるというわけではなく、「なんでこの人こんなにも私のことを見てくるのだろう?」という不審な目で自分を見てくるのだ。


自分は人間観察が好きだ。

コンビニの店員、ビルの掃除をしてるおばさん、公園のベンチでタバコを吸う会社員、1人で下校する小学生、年齢性別問わずその人物がどんな人でどのような人生を送ってきたのかを本気で考えることが趣味であり特技である。

地下鉄に乗っていても気になる乗客がいたらついつい観察してしまい、はっと気づいたときには目的地の駅に着いてることが多い。

平日ランチが700円で食べることができる大好きな定食屋に行った時。

その定食屋は焼き魚、しょうが焼き、唐揚げ、豚角煮定食の4種類しかメニューがない。

自分は1番好きな唐揚げ定食を頼みいつも通り人間観察を始める。


隣のテーブルに会社員4人が座っていた。


自分はもちろん誰がどのメニューを頼むのかをひとりひとりの特徴を見て本気で考え4択クイズを始める。


1人オールスター感謝祭と呼んでいる。

考えているうちに唐揚げ定食が到着する。

少し口の中を火傷しながら唐揚げを食べる。

これがうまい。

最後にこの定食屋特有のジョッキに入った烏龍茶を飲み干し席を立つ。

会計を済ませて店を出る。

食べるのに夢中で1人オールスター感謝祭の答え合わせを忘れる。

何を頼んだか確認するためにもう一度お店の中に入ろうとしたがさすがにやめた。

1人オールスター感謝祭のなかの島田紳助がキレていた。

1人オールスター感謝祭のなかの粗品はきっと誰がどの定食を頼んだか当てているだろうから粗品に聞けば答えが分かると思った。


1人オールスター感謝祭のなかの水谷隼はすでにサーブを打っていた。


帰り道、すれ違う人と目が合う。

人間観察を始める。

みんな自分を見てくる。

有名人になった気分。

1人オールスター感謝祭のなかの森脇健児は赤坂5丁目ミニマラソンの2周目を回ったところだった。

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