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DDLC Plusをプレイして違和感を覚えた話【レビュー】

・DDLC Plusの発売


『Doki Doki Literature Club!』 (通称:DDLC) をご存じだろうか。
2017年にSteamで無料リリースされ、そのあまりの内容で話題となった
ビジュアルノベルADVの問題作ゲームである。

リリースから4年弱が経った今月の初め、Steamから追加要素を加えた新作
Doki Doki Literature Club Plus!』が突如発表、発売された。

元のDDLCからのサイドストーリーの追加など新要素の告知に加え、
Switch/PS5/PS4などコンソール版のリリースも併せて発表されたのである。

それを聞いて、既プレイヤーは皆思ったに違いない。




「あの要素、コンソール版でどうするんだ?」



と。


実際、それを目当てに本作を買った気持ちもある。
このゲームはコンソール版とはあまりに相性が悪いのだ。



結論から言うと、DDLC Plusはコンソールで遊べるように改変、
良く言えばブラッシュアップされていた。

しかし、その改変により「追加要素も含めてもう1度DDLCが遊べるな!」と
ワクワクしていた自分はとてつもない解釈違いを突き付けられ、
えもいわれぬ喪失感を覚えたのである。


この記事はあまりの喪失感にnoteのアカウントを作成し、
気持ちの整理をつけるために個人的な感想を書き殴ったチラシの裏である。


以下ネタバレが沢山出てくるため、DDLC未プレイの人やDDLC Plusを遊ぼうと考えている人はプレイしてから読んでほしい。






・ゲームの枠を超えたメタ要素

メタ要素には、人を引き付ける魅力がある。
ルールが守られてきた世界で突如予想外の方向から殴られる感覚に、
思わずにやりとしてしまうことが多い。

ゲームのシステム、仕組みを理解するキャラ、そのシステム自体を崩壊・改変させてくるギミックなどはそのゲームの味となる。

メタ要素が使わてれいるゲームと言われて、『Undertale』のあのキャラを想起する人は多いだろう。


しかし、DDLCに登場するモニカはそれらのメタ要素とは
大きな違いがある。

彼女はゲームのシステムや仕組みを理解しているだけではなく、

「これはゲームであり、ゲームを遊ぶプレイヤーが存在している」
という
ゲームの枠を超えた外側の部分まで理解、干渉し、
プレイヤー本人に語り掛けてくる。

メタ要素といっても、大半はゲームという枠組みの中での話である。
ゲームの枠を越え、プレイヤーに直接語り掛けゲームのファイルを改ざんするキャラクターなど、聞いたことが無かった。
だからDDLC、そしてモニカというキャラクターに惹かれたのである。




・DDLC Plusで現れた檻


このゲームは、ディレクトリのファイルを直接弄ることで場面が進行する。

それでは、PCとは違いゲームのディレクトリなど弄ることのできない
コンソールに、どうやってこのゲームを移植するのか?

その問題はPlusの追加要素で解決された。

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そう、仮想デスクトップである。

DDLC Plusは仮想デスクトップとゲーム本体の2重構造となっている。
たしかに、これならばコンソール版でもファイルを弄ることが可能である。

しかし、仮想デスクトップの追加。

これが印象に与える影響はかなりデカい。


ゲームディレクトリを弄ることはできるが、好き勝手触れるわけではない。
ゲームの『中』で定められた特定のモノしか弄ることが出来ないのである。

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それは最早ゲームを構成するファイルではなく、
『ゲームのシステムによって定められた削除可能なオブジェクト』
でしかない。

"仮想デスクトップのディレクトリでモニカのキャラデータを削除する"

その行動の意味するところは元のDDLCとはかけ離れており、
ゲームシステムによって用意された『コマンド』『じゅもん』でモニカを
倒しているに過ぎないのだ。


そして、モニカが語り掛けているのは、
「DDLCを遊ぶプレイヤーに対して」である。

無印DDLCでは、それはそのまま「ゲームを遊ぶ人」として捉えられた。

しかし仮想デスクトップという二重構造となってしまった今、

そのモニカが語り掛けているプレイヤーは
仮想デスクトップでDDLCを起動しているゲームの主人公」
に過ぎないのだ。

仮想デスクトップという『檻』に閉じ込められ、
モニカは外の世界を認知できなくなった。
ゲームの『外側』には、干渉できなくなってしまったのである。


二重構造の檻によりゲームの外側を認知、干渉できなくなったモニカ。
ゲームの『中』のプレイヤーに対して話し掛けるモニカ。


DDLC Plusを遊んでみて感じた、違和感や喪失感の原因はここにある。
ゲーム内には考察が捗るテキストが散りばめられており、すべて理解すれば実はそうではないのかもしれない。
しかし、ゲームを遊んでぱっと浮かんだ印象、感想がこれらであった。


もちろんだが、DDLC Plusが悪い作品であるわけではないし、
追加されたサイドストーリーなども好きだ。


それでも、遊んでいると何とも言えない寂しさを感じてしまう。
モニカにはプレイヤーに直接干渉し、語り掛けてほしい。
そう思ってしまうのだ。

もしこれからDDLCに興味を持ち始める人がいたら、自分はまず無印を遊ぶことをお勧めするだろう。
Plusからこのゲームを知ってしまうことは、少し惜しいと感じてしまう。



・Just Monika


Just Monika.

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