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けんざいのおと #7 木材屋さんとのお話。

私は、建材を仕入れる為にいろんな業者さんと一緒にお仕事させていただいているのですが、やっぱりどんな勉強よりも直接業者さんから得られる知識というのが一番なんですよね。
今回は、大きなイチョウの木をカウンター天板にしてもらったときのお話です。

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あるプロジェクトで、レストランカウンターの天板を一枚板で作りたいという依頼がありました。元々見ていたものが、けっこう高い金額だったので、もっと安くて良いものはないか?と。
ただ、検討していたサイズと産地が問題で、巾650mm×長さ8m程度の一枚板からL型に組んで使いたい、国産の木が良い、という要望でした。
海外の、特に熱帯地域で育つ木はかなり大きな材料として取れるのですが、国産となると大きいものはなかなか見つけるのが大変で、見つかったとしても、とても高額になってしまう場合が多いのです。

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ところが、私のお付き合いしている木材屋さんはいつも一生懸命相談に乗ってくださり、今回も、イチョウの木がたまたま見つかったよ!と連絡をくれました。九州のほうで見つかったということで、実際にその木材屋さんと共に材を見に行くことに。

現地に到着すると、何枚か用意してもらっていて、その中から赤太(木材の赤い部分)と白太(木材の白い部分、樹皮に近い成長段階の未熟な部分を言います)のバランスやヒビの入り方などから今回のプロジェクトに適したものを選ばせていただきました。
どれも、本当に立派な材で、レストランに入るとすごい迫力になるな、という代物ばかりでした。

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同行してくれた木材屋さんは、多数の有名な建築家さんとお仕事されており経験豊富な方です。通常イチョウの木は街路樹だったり、神社に植えられていることが多く、特に大きいサイズのものになってくると保存樹木に指定されることもある為、流通する量はかなり限られてくるんだよ、と教えてくれました。こんなに大きなイチョウが出回るなんて珍しい!と実物を見ながら興奮するくらいでした。
私は、そんな大きなイチョウが見つかったことももちろん嬉しかったですが、木材屋さんから、本で勉強する限りでは得られない知識を教えてもらえることが、何よりもこのプロジェクトに関われて良かったと思うポイントでした。この方にはその後も、木にまつわる知識をたくさん教えていただいています。

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木、石、金属、アクリル、紙、その他にもたくさんの材料があり、それぞれその業界の人の間では当たり前のことでも、普通に暮らしている中では知りえないことを知っていけるのって、とてもワクワクします。だからこの仕事していて、いつまでも飽きないんだなぁと実感しました。これからもこのnoteで、いろんな業界のお話を少しずつ披露していければと思っています。

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