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長編文学小説・MとRの物語

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Mというのは、あの、三島由紀夫さんのことです。三島由紀夫さんが現代によみがえり、女子高生とともに小説を書いていく、というお話です。ファンタジーっぽいですが、純文学です。
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【まとめ】長編文学小説「MとRの物語」

前書き  タイトルの「M」というのは、あの、三島由紀夫さんのことです。三島由紀夫さんが現代によみがえり、女子高生とともに小説を書いていく、というお話です。ファンタジーっぽいですが、純文学です。  三島さんが死の直前に書き上げた、「豊穣の海」全4巻の大長編小説は、実は全5巻となる予定だった、またエンディングは実際に発表されたものとは違う予定だったという、わりと信ぴょう性の高い噂があります。本小説は、作者である私(超プリン体)が三島由紀夫さんになりきり、三島さんを現代によみがえ

20「MとRの物語(Aルート)」第一章 16節 「痛い、気持ちいい」

これって純文学なの? エロ小説なの? いいえ、大人向けの純文学です(きっぱり)。それにしても、Rちゃんの快楽落ちが激しすぎる。どうなるんだこの先(困惑)。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第一章 16節 「痛い、気持ちいい」  Mさんの心が、苦痛に耐えている。私はMさんを強く抱いた手を少し緩めた。その瞬間、Mさんの軽い失望の気持ちが、私に伝わった。あ、Mさんは、苦痛を望んでいるんだ。でもそれは許さない。今度はじらしプレイだ。  私は、Mさんの顔をゆっくり

21「MとRの物語(Aルート)」第一章 17節 快楽の蛇

難解な第一章を読み続けた人たちへのご褒美、それはこの世の快楽を超えるエロス。というわけで、公共良俗に触れないギリギリのソフトなエロを提示したのちに、Aルートは休憩のため、パーキングエリアに立ち寄ります。ほっと一息、かな? (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第一章 17節 快楽の蛇  蛇がのたくっている。蛇が暴れている。蛇は私のふくよかな肉に噛みつき、ひきちぎり、それを砕き、舌で舐めまわしている。快感のとりこになった私は、そんな蛇の蹂躙を、ただただ受け入れてい

22「MとRの物語(Aルート)」第一章 18節 接吻と恋文

今回、「M」の正体が明かされます。 彼の書いた名作、「春の雪」の1フレーズも、引用しておきました。 オマージュであり、リスペクトです。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第一章 18節 接吻と恋文  時計を見ると、母が帰ってくるまでには、少し時間があった。私は、仰向けになって目を閉じているMさんに近寄って、恐る恐る、その身体に触れてみた。流れ込んでくるような快感は、もうなかった。  Mさん、Mさん! 私は、心の中でMさんを呼びながら、その身体を揺すった。

23「MとRの物語(Aルート)」第一章 19節 湯船と構想

多少強引だけれど、第一章を終えさせてみる。 ここまで読んでくださったみなさま、おつかれさまでした! 第五巻執筆の話になると、難しくてとたんにRちゃんが寝そうになる。 どうしたものか……。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第一章 19節 湯船と構想  かわいいよ、かわいいよMさん、という、Rのはじけるような思念が、俺の心にうるさいほど響いてくる。しかしとがめるのもかわいそうだ。俺は我慢することに決めた。俺に出会ってから、Rの思考はいい方向へと向かっている。俺

24「MとRの物語(Aルート)」第二章 1節 夏休みと、春の雪

やっとたどり着いたよ、第二章。 MとRの小説談義。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 1節 夏休みと、春の雪  Mさんと出会ってから数週間、夏休みが始まった。私はしばらくは、コンビニのバイトはお休みして、Mさんと一緒に、小説に集中することにした。母もバイトを休むことに、賛成してくれた。 「はああ……」窓の外の、黒く曇り出した空を眺めながら、私はためいきをついた。テーブルの上には、「豊穣の海 第一巻・春の雪」が置かれていて、読みかけのページが開かれて

25「MとRの物語(Aルート)」第二章 2節 ショッピングモール

今回はいいプロットが浮かばなくて、 ほとんど「サイコ・ライティング」に頼り切り。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 2節 ショッピングモール  夏休みだというのに、Rは一日中、読書をしている。俺はそんなRの前の席に座り、新聞を読んだり、インターネットのニュースサイトをチェックしたりしている。Rに、少しは外に出た方がと言いたくもあるが、俺にとってこのような情報収集のための時間は、非常に重要であるし、それに小麦色にやけた女性の肌というのも、俺はあまり好き

26「MとRの物語(Aルート)」第二章 3節 母の記憶

人の心なんて、知らない方がいい。 悲しい記憶なんて、なくなればいい。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 3節 母の記憶 Rとショッピングモールに行ったその夜、Rの母親は、やはり残業で少し遅く帰宅した。食後のコーヒーを飲みながら、Rは「春の海」読了の話をした。母親はうれしそうに微笑んだ。 「すごいね。全部自分で読めたんだ。設定が大昔の日本だから、どこかでつまずくと思ったんだけど、大丈夫だったんだね」 「うん、あれ? って思う所はいくつかあったけど、大

27「MとRの物語(Aルート)」第二章 4節 右翼と左翼(未完成)

今回は、粗筋だけ。 完璧をめざして動けなくなるより、 少しでも前に進む方がいいという判断。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 4節 右翼と左翼(未完成) 今日もRは小説を読み、MはPCでニュースを見ている。 RがMに質問する。 「これって、ネトウヨ?」 「いや、そうじゃないな」Mが答える。 MはRに、「右翼」と「左翼」の定義を語る。 「ちなみに」Mは自分の名前で検索し、その結果をRに見せる。 「Mさん、右翼だったんだね」 「まあ、そう思われては

28「MとRの物語(Aルート)」第二章 5節 Mの弱点(未完成)

たんたんと、しゅくしゅくと。どんどん書いてみる。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 5節 Mの弱点 「何これ、難しい。ぐぬぬう……」Rがうなっている。 MはそんなRを、腕組みをして見つめていたが、やがて助け舟を出した。 「そこはね……。実は俺の最大の弱点が出ている、もっとも読みづらい部分なんだ」 「え? 弱点? 天才のMさんの?」 Rの眼が、きらっと光った。興味津々、といった表情である。 Mは頭をかきながら言う。 「俺は天才なんかじゃない。そ

29「MとRの物語(Aルート)」第二章 6節 「神風連 史話」リライト

いつも本当に、ありがとうございます。 今日は調子がいいのでもう少し。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 6節 「神風連 史話」リライト 「神風連 史話(しんぷうれん しわ)」  作者:M   時は明治6年。季節は夏。   いわゆる、「明治維新」の、最後の最後の大舞台が始まろうとしていた。   多くの武士達の、哀しいほどの願いを託された5人の男達が、   村の大神宮に集い、神の言葉を授かるための、   儀式をとり行おうとしていた。   「太田黒さん

30「MとRの物語(Aルート)」第二章 7節 潰れた煙草のシーン

なんだかすごい展開になってきた……。 この先、一体どこに向かうのか。作者としても、興味は尽きない。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 7節 潰れた煙草のシーン  その後も難関は続く。 「観察者」である本多と、観察される対象である、 飯沼勲(いいぬま いさお)少年。この2人のどちらかの 視点をからめて、物語が進んでいくシーンはいいのだけど、 そうではなくて、「神風連 史話」のような、 いわゆる「テキスト中 テキスト」と呼ばれる構成の、 入れ子構造になる

31「MとRの物語(Aルート)」第二章 8節 「松風」のシーン・リライト

二章8節「松風」のシーン、をリライト。 Rちゃんの理解力が高すぎたのと、生意気すぎたのをカット。 削れた部分を、サイコ・ライティングにて補修。 これならなんとか納得の出来。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 8節 「松風」のシーン・リライト 本を読む、Rの息が深い。ときおり、すぴー、という音も聞こえる。 どうやら眠ってしまったようだ。そんなRを、Mが見つめている。 「やっぱり……、松風でスローダウンか。  いや、これじゃあスローダウンどころか機能停

32「MとRの物語(Aルート)」第二章 9節 2度目のデートの計画

「MとRの物語(Aルート)」第二章 9節 2度目のデートの計画 ぬーん……。 またまた思いもよらぬ展開に……。 なんとかなるだろうか、心配だなあw (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 9節 2度目のデートの計画  Rが、「豊穣の海・第二巻」を読み終えた。ふう、とため息をついて、天井を見つめるR。MはRの感想を聞きたくて仕方がなかったが、やはり作者から聞き出そうとするのは無粋だと考え、黙っていた。だが、沈黙の時間が余りに長かったため、たまらずMは、「コ