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長編文学小説・MとRの物語

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Mというのは、あの、三島由紀夫さんのことです。三島由紀夫さんが現代によみがえり、女子高生とともに小説を書いていく、というお話です。ファンタジーっぽいですが、純文学です。
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【まとめ】長編文学小説「MとRの物語」

前書き  タイトルの「M」というのは、あの、三島由紀夫さんのことです。三島由紀夫さんが現代によみがえり、女子高生とともに小説を書いていく、というお話です。ファンタジーっぽいですが、純文学です。  三島さんが死の直前に書き上げた、「豊穣の海」全4巻の大長編小説は、実は全5巻となる予定だった、またエンディングは実際に発表されたものとは違う予定だったという、わりと信ぴょう性の高い噂があります。本小説は、作者である私(超プリン体)が三島由紀夫さんになりきり、三島さんを現代によみがえ

03「MとRの物語」第一章 2節 再生

(目次はこちら) 第一章 第2節 再生  ぎぎ、と俺の腕に絡みつく、光が鳴っていた。俺の全身は、絞り上げられていた。痛みとも、嫌悪感ともつかぬ不気味な感覚。だが、本格的な痛みはこれからだということを、俺は知っていた。なぜなら、俺はすでに何度もこれを体験していた。これとはすなわち、「再生」だ。  ただ、小説家Mとしての再生は、これが初めてである。俺はその前には、俺ではなかった。その前にはさらに別の人間であった。そう、それが輪廻転生というものだ。これは誰もが体験している、だ

26「MとRの物語(Aルート)」第二章 3節 母の記憶

人の心なんて、知らない方がいい。 悲しい記憶なんて、なくなればいい。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 3節 母の記憶 Rとショッピングモールに行ったその夜、Rの母親は、やはり残業で少し遅く帰宅した。食後のコーヒーを飲みながら、Rは「春の海」読了の話をした。母親はうれしそうに微笑んだ。 「すごいね。全部自分で読めたんだ。設定が大昔の日本だから、どこかでつまずくと思ったんだけど、大丈夫だったんだね」 「うん、あれ? って思う所はいくつかあったけど、大