時間が巻き戻るんだ。 彼は目を見開きながら僕だけに聞こえる声で訴える。彼はたまに訳のわからないことを口走る。典型的な変わったやつだ。普通の人からしたら付き合いにくい奴だろう。僕は彼のそんなところが気に入っていたりする。 どうして?こうして僕らはふつうにすごしてるじゃないか。 僕らは学校帰りに夕暮れ時の駅前にあるカフェで一人百円のコーヒーだけで一時間たむろしていた。特に話すこともないのに毎日百円で何時間も居座っている。田舎のカフェはこういった客にも寛容だ。 よく見
僕は5歳のときにはもうすでに厨二病だった。 世界を救うヒーローはいると信じていたし、正義を確かなものとして信じていた。 幸せは探すものでもなく、走り回り遊ぶ僕の傍らにそっとあるようなものだった。 不幸を知らないものたち幸せや正義といったものはサピエンスのみが持ちうる概念である。 その他の動物は野生で生きる自分と動物園の他人を比べて幸せを比較したりはしない。 過去の自分と未来の自分を結びつけて幸せを思い描くこともなし得ない。 幸せというものを理解し得ないからだ。 これは5