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『勇気の花がひらくとき』(梯 久美子 著)

『勇気の花がひらくとき』 梯 久美子 著

 25年春の朝ドラは、「愛と勇気の物語」の『あんぱん』だそうです。やなせたかしと妻・小松暢(のぶ)の物語。これに先行して「COTEN RADIO」の「やなせたかし」を聴いてからすっかりハマってしまい、いまのプチ・マイブームは「アンパンマン」。
 
 やなせたかしは、幼少期に両親兄弟とは死別・離別。徴兵で中国に出兵して「食べるもののない苦しさは、どうにもならない」という原体験をもって戦後帰国。「手のひらを太陽に」や「三越」の包装紙などのヒットはあったものの、その後、鳴かず飛ばず状態が続き、かなり経ってアンパンマンの絵本を制作。「ヒーローなのにちっともカッコよくない」「顔を食べさせるなんて残酷」と関係者から批判され、出版社からも「もうこんな絵本を描かないでください」とまで酷評。ところが、子どもたちには密かなブームで広がり、ようやくアニメ版が放映されたときは69歳。高齢で引退を考えるも、東日本大震災後にアンパンマンのテーマ曲が毎日流されることを知ってからは、94歳で亡くなる直前までペンを持っていたというからすごいです。

 「ジュニア版」のため、文字も大きく漢字には全てルビがふってあり、ものの30分ほどで読めてしまいます。一緒に仕事をした著者のあとがきにあるように「アンパンマンは、たまたま生まれたヒーローではありません。悲しいことや苦しいこともたくさん経験し、人間が生きる意味はなんだろうと先生が考えつづけた中から誕生した」もので、深い思索と経験から生み出されたことがよくわかる一冊です。

因みに、「COTEN」では、やなせたかしの思想がすべて盛り込まれているのが映画「いのちの星のドーリィ」と紹介され、これらを知って観てみると、不覚にも「アン泣」してしまいました。(^^)

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