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『忘却の効用』 スコット・A・スモール 著

『忘却の効用』 スコット・A・スモール 著

 このところ、名前が出てこない、用事を忘れるなど、「忘却力」がついてきました。これで大丈夫かと少し心配になっていたところ、ちょうど絶好の書籍に遭遇。

 まず、「忘れる」ということは、個別事象を一般化するための前提。記憶力のいい人は、「朝日のなかで見た犬」と「夕闇のなかで見た犬」を、「同じ犬」と認識できないのだそうです。「さまざまな相違を忘れること、一般化すること、抽象化すること」が「考える」ために必要。また、憤りなどの負の感情を忘れることは「赦し」にもつながり、これが「忘却が持つ利点のなかで最も尊いもの」。さらに、睡眠によって大脳皮質の記録を片づけて白紙にする作用があり、このことで新しい記憶を受けられるようになる、と言います(「忘れるために眠る」)。

 「忘却」があることでよい人生が送れるとわかり、これからはあまり忘れることを気にしないようにしようと、単純にも自分に言い聞かせられる一冊です。

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