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『「生」と「死」の取り扱い説明書』

『「生」と「死」の取り扱い説明書』 苫米地 英人 著

 苫米地英人氏と言えば、オウム真理教に洗脳された信者たちを脳科学・認知科学で「脱洗脳」させたことで有名かと思います。カーネギーメロン大学博士であり、かつ天台宗で得度した仏教家。見た目、少々「うさん臭い」というイメージがあるのですが、この方の著作もほぼ読んでいます。この本のタイトルは軽い感じですが、中身はなかなかのものです。

 前掲の『死の講義』の関連図書で出てきたものですが、さすがは苫米地ワールド。田坂広志氏は量子力学の観点から「死」を科学的に考察しましたが、苫米地英人氏は、「質量保存の法則」や「エネルギー保存の法則」から、「個体の死は、自我の消滅を意味」せず、「物理的な存在が情報的な存在に変わるだけで、自我が消え去ったりはしない」と断じます。

 仏教にも造詣が深く、あの世の権力とこの世の権力を分けるという観点から、やはり「釈迦はお坊さんが葬式に出ることを禁じた」とあり、僧侶の世襲も禁止(そのための妻帯禁止)。現状を「釈迦本人が知ったら、驚いてひっくり返ってしまう」とあります。

 連投で暗いタイトルが続いて恐縮ですが、自分自身が普段何気なく思っていることが根底からひっくり返された感のある一冊です。

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