空手家まさし

まさしは世界全体を救済したかった。しかし、まさしの部屋は汚かった。さらに、まさしは腕立て伏せを5回しかできなかった。まさしは、吉川英治さん著『宮本武蔵』全8巻を3回通読したことがあった。まさしは作中の武蔵が大好きだった。自分自身に厳しい武蔵。女性を遠ざける武蔵。まさしは『宮本武蔵』を3回も読んだので4回目を最初から読むことはしない。なぜなら、3回目が終わった時点で8冊の本には、赤ペンの線、青ペンの線、オレンジ色のペンの線が引いてあるからだ。まさしは面白いと思ったところに線を引いた。線の箇所は読み返す。さて、まさしのそれまでの計画では、自分の家をひとりで出る、とりあえずそこまでだった。家を出たはいいが、そのあとがまさしにはわかってなかった。腕立て伏せたった5回の腕力で一体何ができるというのか。筆者は、家に戻ってさっさと自分の部屋を片づけりゃあ少しは親孝行になるであろう、と思う次第だ。がんばれ、まさし。

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