資本所有者たち

 現代の資本所有者たちにとって、国家は何の価値もないだろう。なぜなら、民族資本は戦争状態において初めて発生するからである。それゆえ、現代の資本所有者たちは、国家・民族の滅亡を意に介さない。彼らにとって、重要なのは所有資本の生残であり、国家・民族の生残ではない。

彼らは全ての国民を異民族にしたいと考えている。なぜなら、今や総べての国民は労働者であり、そして、その労働者が資本所有者が要求する条件で、労働してくれれば、資本所有たちにとって、これ以上の幸いはないからである。

しかし、資本所有者に罪はない。なぜなら、彼らは、允許された自由を実行しているのである。問題なのは、資本所有者のこの自由に制限をかけない為政者である。否、彼らは今や、その制約を資本所有者に与えるどころか、彼らの言いなりになって、国家と民族の解体に着手しているのである。すなわち、彼らもまた、国家・民族の永生よりも、自らの私益の確保を優先させたのである。

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