デモクラティック・ウォー

 デモクラシーの国家に、非デモクラシーの国家の国民が入り込んでくる。このような状況において、デモクラシー原理と民族原理の対立の機縁が生じる機縁が生まれるのである。それゆえ、デモクラシーの国家の為政者は、入ってくる異民族がデモクラシーの教育を受けているかどうか常に精査しなければならない。そして、あたうかぎりその教育を受けていない異民族を入れてはならない。彼はデモクラシーの国家においても自国の非デモクラシー的習慣を持続することにつとめるだろう。なぜなら、デモクラシーは言葉の使用の単一化や、異民族の社会的結合を防ぎきる機能を持っていないからであり、たとえ、彼らにデモクラシーの教育を授けても、世代を超えた長い期間をもうけなければ、その効果はあらわれないかもしれないし、あるいは無限の期間をもってしても、それは徒労に終わるかもしれないのである。それゆえ、非デモクラシー国家の異民族は、デモクラシーの国家とその国民に対して、巨大な危険を齎す可能性が高い。そして、究極的には彼らがその非デモクラシー的原理を行使し、政治的に結合し、その実践をはたすという戦争状態に発展しかねないのである。

 デモクラシーの為政者はこのことをしっかりと認識すべきであり、その認識はデモクラシーの原理に発するというよりは、歴史に発するべきものなのである。なぜなら、民族の原理は、歴史を貫流しているからである。

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