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#聴いてみた Schumannの「ピアノ5重奏曲」

NHKFM[「音楽の泉」のSchumannの「ピアノ5重奏曲」を聞き逃し配信で聴いてみた。

曲目

「ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44」 シューマン作曲

(ピアノ)ペーター・レーゼル、(弦楽四重奏)ゲヴァントハウス弦楽四重奏団 (28分20秒) <KING RECORDS KICC 1043>
🖋曲解説にて
「3つのロマンス 作品22」 クララ・シューマン作曲
(バイオリン)リサ・バティアシュヴィリ、(ピアノ)アリス・紗良・オット (9分22秒)
<ユニバーサル UCCG-1610> 2012ミュンヘンでの録音
シューマン夫人のクララ・シューマンが作曲した「3つのロマンス 」をお送り致します。曲が作られたのは1853年、1853年はシューマン夫妻とヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒム、そして20才のブラームスと出会った年です。作曲も良くしたピアニストのクララ・シューマンは19C半ばのサロンで愛されたノクターンや無言歌のスタイル、夫ロベルトの歌曲に想いを寄せながらピアノとヴァイオリンの為に3つのロマンスを書きました。この3つのロマンス、又は3つの小品という形式、スタイルは、夫シューマン、ヨアヒム、ブラームスも愛していました。クララ・シューマンが作曲した「3つのロマンス 作品22」はヴァイオリンのヨーゼフ・ヨアヒムに捧げられています。

「歌曲集「ミルテの花」から 献呈」 シューマン作曲

(バリトン)ウォルフガング・ホルツマイア、(ピアノ)イモジェン・クーパー (1分56秒) <ユニバーサル UCCP-1061>
最後にロベルト・シューマンが1840年、妻となるクララに贈った歌曲「献呈」をお送り致します。歌詞はフリードリヒ・リュッケルト、「君は僕の心 魂 天使」と歌われる愛の歌です。

曲解説(奥田佳道先生解説からの抜粋)

今朝は19Cドイツロマン派の作曲家ロベルト・シューマンの室内楽の傑作ピアノ5重奏曲をお送り致します。
ピアノと弦楽四重奏が醸す劇的な情趣。歌心、音楽の対話を一緒に楽しみましょう。

(♪~)曲が始まったところを少しお送り致しました。第1楽章、楽譜にはアレグロ・ブリランテ  アレグロで輝かしくと記されています。このアレグロは速くという意味に加えて喜ばしくと解釈したいですね。室内楽というフォーマットを超えたかというドラマティックで精神性に満ちた作り、味わい深いハーモニー、素晴らしいです。

シューマンは特定の時期に特定の領域の音楽に集中する作曲家でもありました。1840年、30才の年に恩師の令嬢で19C半ばを代表するピアニストだったクララ・ヴィークと晴れて結婚、その年に歌曲をいくつも書いています。ミルテの花、リーダークライス作品39、女の愛と生涯、詩人の恋等が作られました。1840年は歌の年ですね。

その翌年1841年は交響曲第1番「春」やオーケストラの為の序曲、それに交響曲第4番の初稿が作られています。1841年は交響曲または管弦楽の年です。

そして1842年、シューマンは夏に3曲の弦楽四重奏曲を、秋にピアノ五重奏曲とピアノ四重奏曲を作曲しています。1842年は室内楽の年となります。シューマンはハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンを始めとするウィーン古典派の室内楽を研究しており、その成果が一気に1842年、32才の年に表れたと見られています。ピアノ四重奏曲はモーツァルトに素晴らしい先例が2曲ありますね。一方、ピアノ5重奏曲はフンメル、シューベルトにコントラバスを交えた5重奏曲があったとは言え、シューマンによって開拓されたジャンル、スケール感豊かな協奏曲的な 室内楽と言えるでしょう。交響曲やオーケストラ曲の作曲を経験したシューマンは古典派音楽の流儀を守りつつ室内楽でも稀有壮大な響きを作りたかった、或いは作る技を会得した、そう考えることも出来ます。そしてシューマンは親友のメンデルスゾーンの旺盛な演奏、創作活動から刺激を受けています。メンデルスゾーンはライプチヒゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスター、首席指揮者としてウイーン古典派の交響曲や彼の時代の音楽を指揮、自作のピアノ3重奏曲第1番もライプチヒゲヴァントハウス管弦楽団で披露しています。

シューマンのピアノ5重奏曲、第2楽章を少し聴いてみましょう。
(♪~)ハ短調の趣きある楽章、楽譜にはインモード ドゥナ マルチアと記されています。行進曲のようにという意味、葬送行進曲ですね。このピアノ5重奏曲は完成の翌年、1843年1月にクララシューマンのピアノを交えライプチヒゲヴァントハウス会館で初演されました。その客席にはメンデルスゾーンの他フランスのベルリオーズもいて曲に感激したと伝えられています。シューマンはその後親友のメンデルスゾーンのアドヴァイスにより第2楽章を中心に改訂、現在演奏される形になりました。

曲は全部で4つの楽章からできています。第1楽章、第2楽章は先ほど少しお送り致しました。第3楽章はスケルツォ、モルトヴィヴァーチェ、 音階を上下降するフレーズが印象的です。第4楽章は短調から長調への転換も鮮やかなフィナーレ、コーダ、終結部にはバロック音楽の技法でもあったフーガも盛り込まれ壮大なクライマックスを築きます。第一楽章の輝かしい主題も再現されます。

Schumann「ピアノ5重奏曲」を聴いてみて

今回は上記の曲の他、クララ・シューマンの3つのロマンス、シューマンのミルテの花より「献呈」の共通しているテーマは「愛」だなと思う。
相手を思う「愛」。互いに思いあう「愛」。決して一方的な「恋」ではない。
そんな「愛」の対話が感じられた1時間であった。




 


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