見出し画像

#聴いてみた 武満徹の「波の盆」他

NHKFM「音楽の泉」の武満徹の「波の盆」他を聞き逃し配信で聴いてみた。

曲目

波の盆
NHK交響楽団(管弦楽) 、 尾高忠明(指揮)
作曲: 武満徹(16分10秒)<KING RECORDS KICC1600>
🖊曲解説へ

「3つの映画音楽」から 映画「他人の顔」のワルツ
NHK交響楽団(弦楽合奏) 、 尾高忠明(指揮)
作曲: 武満徹(2分26秒)<KING RECORDS KICC1600>
武満徹の弦楽オーケストラの為の「3つの映画音楽」から映画「他人の顔」のワルツをお送り致します。
武満は晩年にあたる1994年~95年にかけて、それまでに書いた映画音楽から3曲を選び弦楽オーケストラに編曲しました。

夢千代日記
NHK交響楽団(管弦楽) 、 尾高忠明(指揮)
作曲: 武満徹(3分14秒)<KING RECORDS KICC1600>
続いて1981年のNHKドラマ人間模様で放送された3部作のテレビドラマ「夢千代日記」の音楽をお送り致します。
体内被曝で余命3年と宣告された芸者・夢千代と、彼女を取り巻く人間模様が夢千代の日記と共に描かれた作品でした。

ミッシェル
マヌエル・バルエコ(ギター)
作曲: ジョン・レノン、ポール・マッカートニー
編曲: 武満徹(3分11秒)<ワーナー 5054197146275>
次に武満徹の粋な編曲をお楽しみください。
武満は1977年、ギタリスト荘村清志のリクエストに応え、アイルランド民謡、ジャズやポップスのスタンダードナンバー、ビートルズナンバーをギターに編曲しました。

ヘイ・ジュード
マヌエル・バルエコ(ギター)
作曲: ジョン・レノン、ポール・マッカートニー
編曲: 武満徹(3分10秒)<ワーナー 5054197146275>

「SONGS」から 明日ハ晴レカナ、曇リカナ
村松稔之(カウンターテナー) 、 高田ひろ子(ピアノ)
作詞: 武満徹 作曲: 武満徹(2分58秒)
<カメラータ・トウキョウ CMCD-28384>
最後に武満徹の「SONGS」(歌)をお送り致します。
ジャズやシャンソンをこよなく愛した武満徹は ラジオドラマの為にジャズのライブやお芝居の為に、又映画の為に20曲ほどの歌を書いています。
4曲お送り致します。
映画「乱」の撮影現場で武満徹が即興的に作ったと言われる「明日ハ晴レカナ、曇りカナ」、アーサー・コビットの劇「ウィングス」の為に書いた「翼」、ジャズシンガーに愛された「うたうだけ」、ラジオドラマのために作曲された 「小さな空」。
「うたうだけ」の作詞は谷川俊太郎、後は武満が作詞も行っています。
カウンターテナー村松稔之の録音を選びました。
村松は2022年10月、新国立劇場でのヘンデルのオペラ「ジュリオ・チェーザレ」でも賞賛されました。

「SONGS」から 翼
村松稔之(カウンターテナー) 、 高田ひろ子(ピアノ)
作詞: 武満徹作曲: 武満徹(2分36秒)
<カメラータ・トウキョウ CMCD-28384>

「SONGS」から うたうだけ
村松稔之(カウンターテナー) 、 高田ひろ子(ピアノ) 、 安ヵ川大樹(ベース)
作詞: 谷川俊太郎作曲: 武満徹(2分55秒)
<カメラータ・トウキョウ CMCD-28384>

「SONGS」から 小さな空
村松稔之(カウンターテナー) 、 高田ひろ子(ピアノ) 、 安ヵ川大樹(ベース)
作詞: 武満徹作曲: 武満徹(4分2秒)
<カメラータ・トウキョウ CMCD-28384>

曲解説(奥田佳道先生解説からの抜粋)

🖊今朝は武満徹の「波の盆」をお送り致します。
20世紀後半を代表する作曲家 武満徹は、映画やTVドラマのためにも沢山の素晴らしい音楽を紡ぎました。
(♪~)波の盆を彩る幻想的な調べを少しお送り致しました。
武満徹は若い頃、年に300本もの映画を見ることがあったようです。
映画青年でした。
それで早くから映像を伴う作品に関心を寄せ創作活動を行っています。
例えば1956年26才の年に映画「狂った果実」の音楽を担当、その後も市川崑監督の映画「太平洋一人ぼっち」、勅使河原宏監督の「他人の顔」、黒澤明監督の「乱」、今村正平監督の「黒い雨」の音楽を担当しています。
武満は映画音楽ばかりでなく、ラジオドラマ、テレビドラマの音楽も手掛けています。
 こうしたジャンルにおける武満徹の創作態度には1つの美学がありました。
映像に何かを足す、映像を効果的に強調するのではなく、映像や言葉が本来持っている強さ、美しさ、メッセージに寄り添って曲を創る、 と言ったところでしょうか。
音楽があまり出しゃばらないということですね。
映画や映像に作曲家としてさりげなく手を差し伸べる、これが武満徹の美学でした。
今朝はまず1983年11月に日本テレビ系列で放映された倉本聰原作・脚本、実相寺昭雄監督のテレビドラマ「波の盆」の音楽をお送り致します。
明治の時代にハワイ・マウイ島に渡った日系移民1世のお話。
第2次世界大戦により彼らの運命は激変しました。
ドラマの設定は1983年の夏、新盆の日、長年連れ添った妻を亡くした日系移民1世の老人の追憶と1980年代の出来事が交錯する内容でした。
これからお送りする「波の盆」は、そのドラマのサウンドトラックではなく、武満徹自身が後にコンサート用に編曲したオーケストラヴァージョンです。
ハープ、ビブラフォン、チェレスタの他、シンセサイザーも使われています。
武満徹作曲 オーケストラの為の「波の盆」
NHK交響楽団、指揮 尾高忠明
2022年6月の演奏で16分ほどの武満サウンドをお楽しみください。

🖊武満徹の「波の盆」他を聴いてみて

武満徹作品の中でも「波の盆」は本当に大好きな曲で、何度聞いても心が静寂に包まれ、所謂『整う』状態になっていく。
どうしてなのかな、と考えた時、ただ音楽が美しいだけでなく、きっとそこには「哲学」が形成されているのだと思うのだ。
そんな作曲家、他にいるだろうか。
他の作曲家とは明らかに一線を画した存在。
きっと100年後もその先も武満徹作品は生き続けていくと思う。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?