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#聴いてみた Brahms ホルン三重奏曲

NHKFM[「音楽の泉」のBrahms作曲ホルン三重奏曲を聞き逃し配信で聴いてみた。

曲目

「ホルン三重奏曲 変ホ長調 作品40」
ブラームス:作曲
(ホルン)ズデニェク・ティルシャル、(バイオリン)ヨセフ・スーク、(ピアノ)ヤン・パネンカ
(30分12秒)
<コロムビアミュージックエンタテインメント COCO-73174-5>

「幻想小曲集 作品12から 夕べに」
シューマン:作曲
(ピアノ)コスタンティーノ・カテーナ
(3分21秒)
<カメラータ・トウキョウ CMCD-15161-2>

「幻想小曲集 作品12から 飛しょう」
シューマン:作曲
(ピアノ)コスタンティーノ・カテーナ
(3分24秒)
<カメラータ・トウキョウ CMCD-15161-2>

「幻想小曲集 作品12から なぜに」
シューマン:作曲
(ピアノ)コスタンティーノ・カテーナ
(2分25秒)
<カメラータ・トウキョウ CMCD-15161-2>

曲解説(奥田佳道先生解説からの抜粋)

 今朝はブラームスの室内楽の名作の1つホルン三重奏曲をお送りします。
第1楽章の冒頭、味わい深いバイオリンの調べとピアノの低音に導かれホルンが歌いだした場面、 晩年の作品のように聞こえますが、この曲は1865年ブラームスが32才の時の作品です。
ブラームスはこの調べをドイツ南西部の黒い森シュヴァルツヴァルトと呼ばれる地域を散策中にイメージしたようです。温泉保養地バーデンバーデンの近くにある黒い森ですね。
ブラームスはホルン三重奏曲の作曲に際し、彼の時代に既に進化していたバルブのついた近代的なホルンではなくて古いタイプのホルン、いわゆるナチュラルホルン、ブラームスの時代には森のホルン、ヴァルトホルンと言われていましたが、昔ながらの楽器、その楽器の音色を想定して曲を書いています。
ブラームスと言いますと、音楽の都ウィーンでの活躍が知られ、実際ブラームスはウイーン学友協会の監督、合唱団の指揮者などを務め、ウイーンフィルハーモニー管弦楽団とも深い絆で結ばれていましたが、これからお送りするホルン三重奏曲はブラームスがウイーンに定住する前の作品です。
ただブラームスは既にウイーンを訪れており 気鋭の作曲家・ピアニストとして注目を集めていました。

さてブラームスはホルン三重奏曲を書いた1865年の夏、彼はたくさんの音楽家と出会い、室内楽など演奏しとても満ち足りた日々を過ごしています。
ただその年の2月に最愛の母親が亡くなっており、その悲しみを映し出す調べも聴こえてきます。
ホルン三重奏曲の第三楽章はアダージョ・メスト 悲しげにと記されています。
メスト、悲しげに、寂しげに 、というイタリア語はベートーヴェンが若い時に書いたピアノソナタ第7番作品10-3の第2楽章にも使われています。
ブラームスはホルン三重奏曲の第3楽章で、17世紀1650年代に広まったドイツのコラール、賛美歌、聖歌ですね、そのコラールの「親愛なる神の導きに任すもの」その旋律を引用しました。
この賛美歌は慰めの歌と知られています。
そしてブラームスはこの賛美歌の調べを用いつつ、極めて緻密な音楽を書き上げました。
後に完成させるドイツレクイエムにも通ずる味わい深い調べ、胸を打ちます。
そして最後の第四楽章は覇気と情熱に溢れた世界、 ホルンは狩りの楽器だったこと、森をイメージする楽器だったことを思わせる音楽です。
舞曲や民謡に通じる喜ばしい調べ、楽譜にはアレグロ・コン・ブリオ 生き生きとしたアレグロで、と記されています。
アレグロ・コン・ブリオはベート-ヴェンが最も愛した速度や表情を示す言葉ですね。
第4楽章の主題はブラームスが好きだったドイツの民謡「あそこの牧場に一軒の家が立っている」のメロデイーを明るくしたものです。
ブラームスはこの民謡が好きで49のドイツ民謡集という歌曲集にも取り入れています。
ブラームスのホルン三重奏曲は1865年の晩秋から冬にかけてスイスのチューリヒ、ドイツのカールスルーエで演奏されました。
いずれもピアノはブラームス自身が弾いています。
ホルンやヴァイオリンはブラームスの友人や各都市の宮廷楽団の名手が演奏しました。
このホルントリオ、三重奏曲を殊の外愛したのが、ブラームスより14才年上のピアニスト クララ・シューマンで、19世紀半ばを代表するピアニストだったクララは1870年1月ウィーン楽友協会の小ホール、今のブラームスザールのオープニングコンサートで弾いています。
クララは1865年、つまり5年前に書かれたばかりのブラームスのホルン三重奏曲を自分のリサイタルに1曲め、しかもウィーン楽友協会の小ホールのオープニングで弾いたのです。
1870年1月、ウィーン楽友協会の新しい室内楽ホールに集ったお客さんは、気鋭のブラームスの音楽をベテランのピアニスト クララ・シューマンの演奏で味わったのです。(その日のプログラム最後の曲は14年前に亡くなった夫ロベルト・シューマンの幻想小曲集の抜粋でした。)
今朝はチェコの名演奏家による1970年代の録音でお送りします。
ブラームス作曲ホルン三重奏曲変ホ長調作品40
(ホルン)ズデニェク・ティルシャル、(バイオリン)ヨセフ・スーク、
(ピアノ)ヤン・パネンカ
第1楽章アンダンテ  第2楽章スケルツオ  第3楽章アダージョ・メスト
第4楽章アレグロ・コン・ブリオ、
1976年プラハでの録音全4楽章、30分ほどのホルン三重奏曲をお楽しみください。

Brahms ホルン三重奏曲を聴いてみて

 ブラームスが古いホルンに拘ったのはドイツ南西部の黒い森シュヴァルツヴァルトで曲想を得たのが大きいのかなと感じた。
私自身行ったことはないけれど、シュヴァルツヴァルトの大いなる自然の中で、近代的なホルンではなく、ナチュラルホルン→森のホルン、ヴァルトホルンの音色の方がよりふさわしいと導かれたのかもしれない。
この楽曲の中でヴァルトホルンが奏でる〝歌声〟は歌詞こそないが雄弁に様々な感情を表現していた。
時には優しく慈愛に満ちて、時には哀しみ、時には若々しく。
ヴァルトホルンは演奏が難しいと聞くが、(それを)微塵も感じさせない素晴らしい演奏であった✨✨✨✨


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