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#聴いてみた カリンニコフ「交響曲第1番」

NHKFM[「音楽の泉」のカリンニコフ「交響曲第1番」を聞き逃し配信で聴いてみた。

曲目

「交響曲 第1番 ト短調」 カリンニコフ:作曲 (管弦楽)NHK交響楽団、
(指揮)エフゲーニ・スヴェトラーノフ (36分14秒)
<KING RECORDS KICC3018> 1993/2/3の演奏 ライブ公演
🖋曲解説にて

「映画音楽「馬あぶ」から ロマンス」 ショスタコーヴィチ:作曲
(バイオリン)アレグザンダー・カー、
(管弦楽)ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、
(指揮)リッカルド・シャイー (3分50秒) <ポリグラム POCL-1874>
🖊ロシアの調べ、次は20Cロシア ソヴィエトの作曲家ショスタコーヴィチ  が1955年の映画「馬あぶ」の為に書いた 香しい「ロマンス」をお送り致します。映画の舞台は19C、イタリア統一運動の時代、権力に翻弄された青年アーサーの純愛と彼の激動の人生が描かれています。
馬あぶと言うのは何者にも屈しないアーサーのニックネームでした。 

曲解説(奥田佳道先生解説からの抜粋)

19C後半のロシアの作曲家カリンニコフの交響曲第1番をお送りいたします。 1866年に生まれ1901年に34才で亡くなったカリンニコフの代表作。哀愁を帯びたメロデイーが表情や楽器を変えながらメドレーよろしく聴こえてきます。19Cの終わりにロシアそしてウクライナで育まれた愛すべき交響曲をご一緒いたしましょう。

(♪~)曲が始まったところ、哀しくも美しいメロデイーが聴こえてきました。ヴァシーリ・カリンニコフ。1866年1月ロシア帝国に生まれ、1901年1月にクリミア半島の南端ヤルタで亡くなった作曲家です。聖地の神学校で声楽や作曲を学び、10代半ばで聖歌隊指揮者に任命されたという記録が残っています。 カリンニコフはその後モスクワ音楽院に進みますが、経済的に苦しくモスクワの劇場でヴァイオリン、ファゴット、ティンパニを演奏、生活の糧としました。1892年、26才の年にカリンニコフは晩年のチャイコフスキーに認められモスクワの劇場で指揮をするようになります。しかしその頃から かねてから患っていた結核の症状が悪化 、カリンニコフは療養の為温暖なクリミア半島のヤルタに移住しそこで創作のペンを執ります。これからお送りする交響曲第1番は 1897年2月、ウクライナのキーウでのロシア音楽協会のコンサートで初演され好評を博しました。カリンニコフその時31才、3年後の1900年にはラフマニノフが療養中のカリンニコフのもとを訪ねスコアの編曲や楽譜出版についてアドヴァイスを行っています。一方、交響曲第1番の楽譜は完成後、管弦楽法の巨匠リムスキーコルサコフのもとにも送られていましたが、リムスキーコルサコフは「このままでは演奏できない」と手厳しい 意見を述べています。第1楽章のもう1つの主題を聴いてみましょう。

(♪~)第1楽章の第2主題、このメロディーがまたノスタルジックで胸を打ちます。カリンニコフが紡いだ最も味わい深い調べかも知れません。この交響曲は 日本のオーケストラ界の黎明期を彩った音楽 でもあります。NHK交響楽団の創設にも関わった指揮者で作曲家の近衛秀麿が関心を寄せていました。近衛秀麿は 1924年ベルリンフィルハーモニー管弦楽団を指揮をしていますが、その時のプログラムのメインがカリンニコフの交響曲第1番でした。近衛は1925年に東京で開催された日露交歓交響管弦楽演奏会でもこの交響曲を披露しています。ハルビンからやってきたロシア人演奏家とのステージでした。その後も近衛秀麿は1929年から1934年にかけて新交響楽団、現在のNHK交響楽団で3回も指揮しています。更に1927年、ウクライナ出身の指揮者、エマヌエル・メッテルが新交響楽団の定期演奏会で指揮、そのメッテルの技と音楽に魅了されたのが当時旧制東京高等学校の学生だった朝比奈隆でした。第2楽章を少し聴いてみましょう。

(♪~)第2楽章はアンダンテ。幻想的な調べ、素晴らしいです。この交響曲、アメリカでも活躍したイタリア人指揮者トスカニーニが1940年代に指揮していますが、レパートリーとしたのはやはりロシア人音楽家でコンドラシン、スヴェトラーノフ、スヴェトラーノフ、ラザレフ等が指揮、又、エストニア出身のネーメ・ヤルヴィ、ウクライナのテオデレ・クチャルも指揮しました。アシュケナージ指揮アイスランド交響楽団、山田和樹指揮チェコフィルハーモニー管弦楽団の録音もあります。今朝はロシアのマエストロ、エフゲーニ・スヴェトラーノフが 、1993年にNHk交響楽団を指揮した時の演奏のCDをお送りします。楽章は全部で4つ。哀愁を帯びた第1楽章とアンダンテの第2楽章は先ほど少し聴いて頂きました。第3楽章は舞曲風、スケルツォに当たる音楽、そして最後の 第4楽章は第1楽章の主題で始まる、又何とも劇的な音楽です。カリンニコフ作曲交響曲第1番ト短調、NHK交響楽団 指揮エフゲーニ・スヴェトラーノフ1993年2月3日 NHKホールでのN響定期公演ライブ録音のCDで全4楽章36分ほどの交響曲をお楽しみください。 

カリンニコフ「交響曲第1番」を聴いてみて

名曲の一言では片づけられない何か大きな1つのドラマ。
でも、この交響曲の実演をカリンニコフ自身が恐らく聴けていない(34才で亡くなってしまった)、このことを知った時、そのことをまるでカリンニコフが予知していたのかの如く(勿論実際にはわからないけれど)この曲はカリンニコフの大きな『夢』そのものだったのでは、とも思う。
特に第2楽章の美しさ。何回聴いても心洗われる。
カリンニコフの紡いだ『夢』は後年、今も尚、多くの人々に感動を届けている。



 


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