出たとこ勝負のキャロットケーキ

今年のはじめ、わたしはキャロットケーキ、通称キャロケにはまった。

キャロットケーキとは文字通りすり潰したにんじん入りのケーキで、クリームチーズでできたフロスティングが上にかかっていることが多い。
にんじん入りのケーキは中世からあるが、第二次大戦中のイギリスで砂糖の代わりににんじんの甘みでケーキを作ることが推奨され一般的な家庭料理になった。その後アメリカに伝わりカフェやパン屋では定番のケーキになったようだ。

現在のキャロットケーキには様々な具材が入っている。レーズンやくるみは定番で、チョコチップ、ピーカンナッツ、生姜やココナッツが入っているものもある。
スパイスだって自由だ。大抵シナモンやナツメグは使われているが、クミンを入れれば一気にカレーを連想させる個性的な香りになるし、ケーキだけど全く甘くなく黒こしょうをピリッと効かせている店もある。
にんじんさえ入っていればなんでもありなのだ。
小麦粉でも米粉でもオートミールでもキャロットケーキだし、パウンド型でも丸型でもカップケーキのような見た目でもキャロットケーキ。
わたしが最も惹かれたのは、ほとんどの店でそれらがただ『キャロットケーキ』として売られていることだ。
食べるまで味が全くわからない。甘いのか辛いのか、薄い一切れでお腹いっぱいになるものなのか、はたまたわたしの握りこぶし三つ分はありそうだけれど食べきれるものなのか…
このギャンブル性がたまらない。
だからキャロットケーキがあると聞けばレビューも見ずにとりあえず注文。
そしてケーキとフロスティングを分解しながら、具材やスパイスを考察する。
食べ終わったところでレビューサイトと答え合わせ。
未知のケーキを注文するくせに、店員さんに中身を尋ねる勇気がないのが自分でもおかしいと思うが。

幸い、わたしはこの世の食べ物のほとんどをおいしいと思える味覚の持ち主で、どんなキャロケでも未だ負けたことがない。
これからもキャロケとの勝負を続けていきたい。いつかイギリスやアメリカでも。


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