翌日。 元々そんなにボロくはないはずの自分の家。 誰かが無理やり家族を連れて行ったであろう乱暴な痕跡が残されてある。 脚が折られた椅子や、溢れている夜食のスープ。 家族がどのように無理やり連れて行かれたのかが、容易に想像できる。 ルイは、ヘリンが置いて行った靴を手で拾う。片方しかないことが、なんだか苦しかった。 「いや〜、派手に連れて行かれたみたいだね〜」 いつもの軽く単調な口調でアランは言う。 「全部、お前のせいだろ」 こんなことになった事の発端をたどり、ル
「本当に俺か? おお、俺だな」 鏡に映る自分を見て、ルイは自分の肌を触ってドッペラー状態であることを実感する。手足を動かしてみるが、自分の身体のように何一つ違和感がない。 覗き込むように鏡に映るアラン。 「お〜、さすが、ホムンクルスのドッペラーは一味違うね」 「そういや、お前のドッペラーも異質だったな」 「異質じゃなくて特別ね。ほら、時間がないよ!」 アランはルイの背中を力強く押す。 「ちょっと待て!」 ドゴッ!! ルイは、今までにないほどの力でコンクリートの地面に
――あらすじ 2XXX年。 死闘場(コロシアム)の勝敗で国民と領地を取り合う新・大戦争時代。 新技術により誕生したドッペラーという人工肉体で戦士たちは殺し合う。 主人公ルイは死闘場の元戦士候補生。とあるきっかけで訓練施設から逃げ出し、正体を隠しながら他国の下民街で穏やかに暮らす。ある日、死闘場の勝敗により、大切な家族が他国に奴隷として連れて行かれる。ルイは家族を取り戻すため、戦士にならないという誓いを破り、血に飢えた戦士(怪物)になる。今、死闘場の秩序が狂い始める。
日本では女のバスト(胸)を最上級の敬称で「おっぱい」というらしい。 座敷の床に敷かれている布団に横たわり、アロンはまだ見慣れない木でできた天井をボーッと見た。膨らみのある自分のおっぱいを両手で掴み、初めて触る女性のおっぱいが、まさか自分のおっぱいだとは夢にも思わなかったと呆れる。いや、赤ん坊の頃に母のおっぱいを触ったのが初めてか? ふにふにっと2回触る。夏のコオロギの鳴き声がうるさいなと思い始めて、ハッとした。 「何やってんだ僕は……」 すぐ自分のおっぱいから手を離し