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お盆休み

台風がくる前に大急ぎで父のお墓参りへ行ったお盆の入りの朝。
いつもなら、海岸線道路と並行して左手に走る江ノ電に乗ってとっくに会社へ行っている時間。
ベビーブーム世代の私は、この地に生まれ育って40年以上が経つ。
小学生の頃から江ノ電で学校へ行き、習い事へ行き、教会へ行き、塾へ行き、会社へ行き。今も会社へ行き。
小さい頃、毎朝の江ノ電は、通勤するビジネスマンでぎゅうぎゅうで大人たちに容赦なく押されたりして、ひたすら我慢の世界だったけれど、たまに犬が乗車してきたりスズメが迷いこんできたりしてた。
特段誰も騒がず、はい、あっちだよ、出て行きなみたいに優しく出口を教えていたりして、何だかのんきな時代だったなって思う。
今の朝の通勤江ノ電は閑散としていて、あぁ、みんな大人になり出て行ってしまったのか、リタイアして電車生活も引退したのかと、少し淋しく思う時があるけれど、朝の数少ない乗客は、それぞれゆったり決まった席に収まっている。
私も読書したりNetflix観たり無性にバッグの中を整理したくなってガサゴソしてみたり、昔近所にいたカップルの猫が家の庭に遊びに来るようになり、猫好きの父が文字どおりに猫可愛がりして、名前まで付けて家に上げて、猫もすっかりうちの子ですみたいな顔をしてお腹を上に向けてスヤスヤ寝入ってたっけ。
母が、この可愛い猫はどちらのお家?と首輪にメモをつけたら、2ブロック先に仮住まいしているカップルの家の子と判明して仲良くなったけれど、野良猫に病気を移されたらしく、呆気なく死んでしまった。
ある日、その女の人が泣きながらそして少し怒りながら母はいるかと何故か急に訪ねてきて不在を告げると、猫が死んだからと、私に強い口調で言った。
20歳前だった私は、咄嗟にお花を持ってお別れに行かせてくださいと言ったが、その人は無言で帰った。
後からその女の人が、八つ当たりをしてしまい、ごめんなさいと母経由で謝ってきた。全然いいのにって思った。
今から思うと、私より15は歳上の人だったと思う。
愛猫の死が余程ショックだったのだろう。
わたしもその2年前に愛犬を亡くしたので、彼女の悲しみはわかる。
その女性は、パートナーの男性と色々なところに住んでそれぞれ個人で仕事をしているらしかったが、暫くして次の彼らの場所へ行ってしまった。
という、私の頭の中で数分ドラマになっている何十年も前の話を不意に思い出したり。
お盆のことを書こうと思ったのに、意図せず、江ノ電とわたしみたいな薄くて浅い作文になってきた。
改まって自己紹介をするのは何だか気恥ずかしいので、このぐらいでいいのかもしれません。
私のnote は、韓国ドラマとメルヘン全開の痛いポエムで埋まっており、鎌倉のかの字もありませんが、それを気に入っています。
最後までお読み下さってありがとうございます。
心優しいあなたの、今日という一日が、こころ安らかでありますように。

134号線上の夏雲たち

#夏の1コマ