【感情と得体の知れないもの その4】
白い何かに変化が起きたのは、その時だった。
おもむろに穴から首を出し、
周囲を眺め始めた。
白い何かはつるりとしていて、
イルカのような、
ムーミンの「ニョロニョロ」のような、
ナウシカの「巨人兵」のような、
感情があるのかも分からない、
得体の知れないものだった。
*
「切なさ」を探し出す必要が出てきたのは、
1人の少年とその担任の存在が理由でもあった。
12月の巡礼の時点で、
この2人は、本人達の意図しない所で、
私を非常にサポートしてくれていた。
「次は男性」のメッセージを受けた時、
その2人はすでにそこにいて、
私に「男性」としての視点を
教えてくれていたことに気付いた。
もちろん、
夫や息子達の存在も必要不可欠ではある。
しかし、
「切なさ」に関しては、
「別れ」が伴うこの少年と担任が引き金だった。
*
異なる性を理解していくことは、興味深い。
同じ人間であっても、
まだまだ「女性」と「男性」が育つ過程、
文化的な背景は異なると思っている。
私は、これから「男性」について、
どんな視点を得ていくのか。
自分の変化も楽しみたいと思っている。
*
そして、得体の知れない白いものは、
今は穴から出て、その淵に腰掛けている。
どこへ行くでもなく、
まだそこにいる。
何となく、
女性ではないものを、
子宮から出産したような感じもする。
私の中の不思議の世界に、
得体の知れない住人がいることが、面白い。
おわり
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