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絵になる美しい街並みを創造する為の粉本/豆田町(まめだまち)/大分県日田市/折れ曲がりの街路部が秀逸な街並み


 杵築から九州のほぼ中央に位置する日田に行くには大分自動車道を使うのが便利だが、地道の212号線で行った。目的地である日田の豆田町は1601年(慶長6年)に小川光氏が丸山城と共に築いた城下町で、江戸時代初期から徳川幕府の直轄領、いわゆる天領となったことから、経済・文化の中心地として栄え、その面影が町割りとその街並みに残っている。
 豆田町の町割りは格子状に区切られ、南北に通る上町通りと御幸通りがメインの街路。212号線からは東西に横切る花月川に架かる新橋を渡って上町通りに入るのが常道のようだ。と言うのも町の構図を見ると、この新橋を渡ったゾーンがいわば北側の玄関とでも言える場所で、立派なクンチョウ酒造資料館の佇まいがその雰囲気を醸し出しており、町にストーリー性を持たせるのに役立っている。街中に入れば平成16年に重要伝統的建造物保存地区に選定されたこともあって、塗り籠めの土蔵造りの商家や格子戸のある町家が並び、電柱も無く、何処の街並景観も美しく見える。中でも、その見せ場を形作っているのが、唯一ある御幸通りの「折れ曲がり」部分。そこには街路の先を閉ざした美しい景観がある他、先にある景観に期待を持たせる演出が備わっている。事実、西側に天領日田資料館や草野本家、いた家本家が、東側に東光堂、等々のグレードの高い町家が建ち並び、それらによって形成される景観が良く、特に南側から草野家の縦横にくっきりデザインされた格子状のなまこ壁を施した妻壁を正面に見た景観が秀逸だ。

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