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絵になる美しい街並みを創造する為の粉本/笠島(かさじま)/香川県丸亀市/伝統的建造物群保存地区指定で蘇った美しい街並み


 瀬戸大橋の中央部当たりから西に見える一際大きな島が瀬戸内海の塩飽(しわく)諸島の中心に位置する本島(ほんじま)。便数は少ないが、岡山の児島港、香川県の丸亀港からフェリーか客船に乗れば約30分ほどで着く。          この島は秀吉の朝鮮出征で活躍した事や信長や秀吉、家康から朱印状を賜り諸外国と交易していた事で知られる塩飽水軍の本拠地であったため、他の島とは大きく異なる発展を遂げたようだ。   
 その面影は島の北東端に位置する笠島(かさじま)の街並、具体には街路とそれらに沿って建ち並ぶ立派な町家を観察すれば解る。   
 その主たる街路は南北に走る東小路と東西に走るマッチョと呼ばれる街路からなり、殆どの交差部は見通しのきかないT字路、食い違いの十字路にし、細街路も複雑に屈折、網目のように敷設されており、この構成は城跡がある事でも解るが、正に城下町の形態を成している。現存する町家も江戸時代末期から大正期に建てられたものだが、多くは本瓦葺きで虫籠窓や出格子を設けた伝統的な造りの建物。   
 これらによって形成される街並み景観は独特で、街路に立てば所々で正面にアイトップになる立派な町家が見えるレベルの高い城下町風の美しい景観が堪能できる。この景観が見られるのも当該地区が昭和60年に伝統的建造物群保存地区(以下伝建地区)の指定を受けて、再生されたからで、古い資料によれば、東小路とマッチョの交差部にある真木家住宅(現在はまち並保存センター)は白壁が落ち土壁の多くが露出する等、朽ちる寸前で、伝建地区の指定が功を奏しているのが解る。

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