子どもの登校時の一コマⅠ #45
朝7時半。
家の前を元気に登校していく子ども達の声が聞こえてきます。そこで玄関に出てその子らに朝の挨拶をしますと、必ず「おはようございます」と挨拶が返ってきます。そこで私もその子らの顔を見ながら「行ってらっしゃい!」と応えています。これは校区での朝の普通の挨拶の様子ですが、私が校長の時の朝の挨拶を記した記事がありますのでそれを以下に載せます。
(S小学校の平成25年6月の学校だよりより)
『先日のある朝のことです。
昇降口前の土間の清掃を終え、8時15分前になったので、学校の正門前の方に出かけました。この8時15分の時間は、昨年までの数年は遅刻の児童を迎える時間帯でしたが、今年になってずいぶん様変わりをしているのです。それは遅刻の件数が1、2人と少なくなっているのです。学校の今年の目標は、例年の遅刻15人(毎日)を5人に減らすことでしたから、今年は目標の5人を更に下回っているのです。とても嬉しいことです。このことは、まず担任の先生方の日々の取り組みの成果であり、またご家庭での保護者の皆様の関わりの賜であります。そして子ども自身が「学校に行こう!」という目的意識がしっかり身に付いてきた成果でもあります。
朝、校長室でこの時間帯に仕事をしていますと、窓の外を小走りする姿(まずい!と思って急いでいる子)や友達と楽しそうにおしゃべりをしながらゆっくり登校する姿(急ごうとしない子)を目にしていました。そして子どもによっては、私の方から「急ぎなさい!」というのが私の日課でもありました。それが今年は、この時間帯は本当に静かなのです。急いで来る子が減り、逆に静かな外の風景が不思議な感じもするこの頃なのです。
その日も、8時15分前に正門前の坂の下に行きますと、毎朝正門前の清掃や横断歩道での登校指導をして頂いている方(地域のMさんとTさん)も道具を片付けられているところでした。
ー いつもの会話です。 ー
「今日は、みんな通りましたか?」
「今日は、みんな行っていますよ!」
そんな会話をしていると、Tさんがこんな話をされました。
「数日前のことです。朝から暑かったので、ひと通り掃き掃除をすると、汗が額からこぼれ落ちていました。すると、いつも元気に挨拶をして通りかけていく1年の女の子が、突然自分のランドセルを坂道に置いて、中から何かを取り出してこう言うのです。
『おばちゃん、これで汗を拭いて。』
と。見ると小さな手にハンドタオルを持ち、私に差し出したのです。私は、
『おばちゃんも、これを持っているからいいよ。ありがとうね。』
と自分のズボンから取り出したタオルを見せ、額の汗を拭いたのです。」
と。そして続けて私にこう話されました。
「1年の女の子がですね、こんな気遣いをしてくれて・・・・。」
私は、この話を聞いて本当に嬉しくなりました。そして1年生のお子さんですが、人を気遣うことが十分出来ていることに改めて感心するとともに、嬉しくもなりました。その日は私にとっては、何か朝から気持ちよい朝となったことを覚えています。』
これは今から10年ほど前の朝の登校時の一コマです。このお二人の朝の活動は、令和になった今でも続けられています。もちろん他の方々も……。
このような一コマは、全国で続けられている地域の方々による朝の子ども達の安全を守る活動です。
ありがたいことだと思います。私も地域の一人として頑張らないと。(令和6年4月26日)
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