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子どもに東日本大震災を伝える その1 #24

 私が書いていた「学校だより」について少しここで書かせていただきます。           
 私は「学校だより」の中のエッセイ部分「校長室風景」に時間を少し割いて書いていました。NOTEで取り上げた話の中で、「小さなお客様(#5)」、「アニマルセラピー #14」等はさらっと書いたのですが、いじめの話や万引きの話等は、何度も言葉を選びながら書きました。

    書き始めて6年が経った時に発生したのが、「東日本大震災」でした。                   
   私は、まず子ども達に言葉としてどう伝えようかと大分迷いましたが、「校長室風景」の原点である「事実を事実」として言葉を発したのが、その月の終わり「修了式」(3月24日)での私の挨拶でした。(修了式での言葉を、学校だよりに出したのは、その半年後9月1日でした。以下はその時の文です。)                                      

   『修了式で語りかけたことは・・・・。』
 この半年間。日本中が東北大震災の津波による大きな被害、東京電力の福島第一原発による放射能汚染被害のことが大きな話題となっています。そこで、今日は、少し難しいですが、今の日本のこと、これからの日本のことを整理して皆さんと考えてみようと思います。以下の内容は、修了式(震災直後であるH23.3.24)で話した内容です。   

 震災後の3月24日の修了式で、こんなことを皆さんに話しましたが覚えていますか。
 大きな地震が起こり、その津波で東北地方に大きな被害があり、たくさんの人々が避難され、またたくさんの方々が亡くなられました。そしてその津波の被害により、たくさんの方々が住む所や働く所も失ってしまいました。  
 今日、皆さんが座っているこの体育館の気温は5℃です。東北も今日は同じ5℃です。このような寒い体育館でたくさんの方々が、今も避難生活をされておられます。皆さんが今座っているこの体育館と同じ冷たさの床で、たくさんの人々が寝泊まりをしておられるのです。
(難しいことでしたが、その時私は、事実を事実として子ども達に伝えたことを覚えています。)   
  被害を受けた地域(被災地)は、その後、復旧のために地域の人々、警察や消防の方々、自衛隊の方々、そしてたくさんのボランティアや外国の方々の応援や活動があっていますし、今もその活動が続いています。これらのことは皆さんもテレビや新聞でよく見て知っていることと思います。』

 子ども達に切り出した言葉は、 
「皆さんが今座っているこの体育館と同じ冷たさの床で、たくさんの人々が寝泊まりをしておられるのです。」でした。
 子ども達が冷たさを体感することを通して、事実をしっかりふり返ることにつながり「伝える」ことにもつながると思ったからです。言葉を一つ一つ選ぶとは言いますが、この大きな事実に対しては一つの話が終わると次の話は……と話していったことを今でもよく覚えています。
 次の機会に、またその時の話と言葉をお伝えします。        
    次に続く(その2、3、4)

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