【裁判傍聴】あとで払うつもりだったので無罪を主張/窃盗/74歳男性


23/8/23 14/30開廷

令和5年(わ)第523号 窃盗 新件

起訴状

令和5年7月9日スーパーAで店長管理の缶チューハイ2本、341円を窃取。
被告人「間違いない」
弁護人「あとで支払うつもりはあった。無罪を主張します

証拠調べ

高校中退。収入は生活保護と年金。自立支援団体の支援を受けて生活。前科7犯。

監視カメラ

左右ポケットのジャージを着ていた。缶チューハイ2本を両手に持ちレジに並ぶもすぐに離れる。左右のポケットに1本ずつ入れる。風除室の長椅子に座り、あたりを見回す。商品を生産せずに外に出る。「払ってないので来てください」と声をかけられ「あっはい」と同行する。

警備員

7月9日店内を巡回していた。暑いのに長袖のジャージを着ていたのでおかしいと思った。一度レジに並んだのにポケットに入れた。入り口の長椅子に座ってきょろきょろしてから外に出た。

裁判長「今後の進行ですが、否認裁判なので今日は被告人質問はしないことにしましょうか?」
検察官「否認と聞いたのが前日だったもので、少し時間が欲しい。別の証拠等も用意できるかも」
裁判長「今日は弁護人の質問をして、検察側は後日で少し進めましょう」

被告人質問

弁護人

50歳前くらいに車を運転していて追突事故にあった。それまではN社で働いていた。仕事帰りに追突されケガをし、働けなくなった。それで家庭が悪くなった。その事故で悪い方向にいった。6~7年位前にも事故にあったバス停にいたら轢かれた。それから働いていないが、友人の手伝いくらいはしていた。前回、令和3年8月に刑務所を出て旭川の施設に入った。去年の春くらいに札幌にうつり、生活保護を受けながら生活していた。故郷の茨城には盆と彼岸には帰っていた。知り合いのSさんに仕事をもらっていた。椅子のネジを留めたりとか。札幌で友人はいないがSさんにはよくしてもらった。Sさんは去年九州に行ってしまった。

検察官「本件との関係がわからない」
弁護人「友人関係が本件に関係します。どうしてスーパーに行こうと思ったかを明らかにしたい」

札幌に友人はいないが、公園で会う人はいる。自宅とスーパーの間くらいの公園。約束はしていないが行くと会う。週に1回くらい会っていた。名前はわからないが、髭が生えていた。その髭の人とはよくスーパーAで会うことがあり、お酒を買って公園で飲むこともあった。被告人にとっては会うのが楽しみで大切な人だった。声をかけてもらえると嬉しかった。事件の日、まず公園に行ったが会えなかった。当日は朝から350mgのチューハイを飲んでいた。長袖のトレーナーは普段から来ていて特に暑いとは感じなかった。盗むために着てきたのではない。
毎日13:00くらいに公園に行くのが日課。いつもの仲間がいるかと思った。髭の人がよくスーパーAにいるから自分も会えるかなと思って行った。店に入って酒コーナーに行った。缶チューハイ2本を持ったのも覚えている。両手で一本ずつ、自分と髭さんの分。レジに並んだら他の客が「レジが遅い」とイライラしていたため、列を離れてベンチに座った。髭の人が外にいるかなと思い、外に出た髭の人が店にいたらお金を払ってから外に出ていたと思う。そこで女の人に「ちょっと」と話しかけた。ドアから5~6歩しか出ていなかった女性に話しかけられていなかったら店に戻ってお金を払おうと思っていた。とっさのことだったので「人を探そうとしただけです」とは説明できなかった。事務所に行って店長と話し、警察の人が来た。「申し訳ない」と言ったのはお金を払わずに表に出てしまい申し訳ないというつもりだった。
弁護人「事件の経緯と争点を明らかにできたので、切れがいいです」
裁判長「では、次回は検察官の被告人質問で。いつくらいにしましょう?」
検察官「防犯カメラの映像等、他の証拠を準備してボリュームを報告します」
裁判長「検察官が追加の証拠を出すかもしれないので、1週間後に打ち合わせをして、期日を決めましょう」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?