愛など存在はしない。オーケンがかつて歌っていた。
たしかに存在しないのかもしれない。
愛とは見返りを求めない施しだと思う。
自分よりも優先度が高い他者だからこそ、全てを捧げることができるという理屈は分かる。
しかし、好きという気持ちが介在している時点で一切の見返りを求めないということはできるのだろうか。
俺にはできなかった。
心が離れていくのを感じながら、以前と変わらず尽くすことができなかった。幸せを願うと言いながら他の男の影に怯えて嫉妬してしまった。前みたいに君の横で自然と笑っていられなくなってしまった。
結局俺は愛という言葉を情事を盛り上げるだけの薄っぺらな嘘にしてしまった。

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