ハデ目女子を口説くための心得 KZ Symphony
こんにちは、あら50りっぷです。
KZ Symphony(『交響曲』の意)はKZシリーズの中ではハイエンドに近い(価格的にも)位置にいるモデルで、先輩モデルのPRシリーズと同じ大型13.2mmの平面駆動ドライバーにプラスして低域用に6mmDD×1基を搭載した、初構成イヤホンになります。通常価格は12,000円以上なので、普段なら手が伸びないモデルが、AliExpressのセールで半額の6,000円まで下がっていたので興味本位からポチってしまいました。
『平面駆動ドライバー』といえば、歪みのない音像、解像度や分離感のある高音質が特徴でありながら、唯一サウンドが中高域寄りになって低域の量感と音圧が不足してしまいがちな弱点がありました。これは先輩モデルであるPRシリーズ(の全機種)にもあてはまるので、ある意味「平面駆動ドライバの特徴」とも言え、「低域不足」問題を解決したモデルはこれまで存在しませんでした。
つまり誰もが完成形をイメージしながらも、実現には至っていなかったチャレンジ、
=平面駆動ドライバーにDDを追加して低域不足を解消する= という目的のために生み出されたのがSymphonyだったわけです。
他にも平面駆動ドライバーの特徴としてあげられるのは、ボーカル(中域)が奥まって定位してしまう傾向があることや、あまりに分離感が高いために高域がシャリついて刺さり気味になり、長時間聴いていられないと感じてしまうこともデメリットと呼べるかもしれません。
上記の特徴から、平面駆動ドライバーイヤホンをリケーブルするときには、高域強調の純銀線や銀メッキ線はできるだけ避け、純銅線や単結晶銅線と組み合わせることや、逆に低域強調効果のあるイヤピを装着するなど様々な工夫が必要でした。
SymphonyのハウジングはKZシリーズでも大型で、フェイスプレートの素材こそPRシリーズと同じアルミ合金でありながらも、サイズは兄弟メーカーのCCA Rhapsodyに似た形状になっています。でも大型だからといって、このハウジング内に13.2mmの大型平面駆動ドライバーと6mmDDをよく収納できたなあと感心してしまいます。Rhapsody同様、シェルは多少重量感はあるものの耳入れがよく、短めのノズルもイヤピで深さ調整できるので、装着感は意外にもストレスフリーでした。
今回あえて選んだケーブルは、音変化が少なめのBIGMANGO Rubine(4.4mmバランス)、イヤピにはAudio-technica製のFinefit(ホールが小さくノーズが深め。低域強調効果もある)を使って試聴してみることにします。
音質について
フェイスプレートを全面開放したことによる音場の広さがまず印象的で、高域もPRシリーズとは`レベチな`ド派手に煌めく音表現です。
「うわっ、これはキツイ~」っていうのが最初の感想です。これだけ高域の刺さり減衰対策を施してもこれだけ刺激的なので、無思考でリケーブルしたなら高域刺さりまくりで聴くに耐えない音になっていたでしょう。PRシリーズと比較すると、音質的には二段階くらい上の分離感で、初聴から慣れるまでにしばらく時間が必要でした。高域の刺さりを最大限に抑え込むのが結構難しく、どうリケーブルしても刺激が残ってしまいます。
ハデ目女子に軽いノリで「お茶しない?」なんて声をかけてしまった途端、トラブルめがけて奈落の底に一直線・・・。どんな場合でも、無思考につき合うのはやめるべきです・・・。
「ヌケが良い」という表現とは違う、【高解像度オバケ】で、ボクのような寒色カリカリ&ドライ系サウンド大好き人間でもキツイのですから、寒色系がもともと嫌いな人なら1分も保たないでしょうね。
ではここで、ハデ目女子とのつきあい方の心得を伝授しましょう!それはいつも聴いている音量レベルよりボリュームを下げて聴くこと。
ボリュームを下げても『異常に』高い解像度が保たれたままなので、刺激的に感じた分離性が最適化されて、メリハリを活かしつつ高域の刺さりをかなり軽減することができるようになります。ぜひ試してみてください。
中域は想像していたより前で定位して聴こえ、ここがPRシリーズとのチューニングの差になっています。もともと高解像度なのでボーカルもバックの演奏もしっかり分離して聴きとれるし、お互いがお互いに悪影響を及ぼすようなこともなくスッキリと聴こえます。ボーカルが楽しめるイヤホンですが、単純にボーカルを艶っぽくするだけでなく、すべてを並列に並べて分析的に、かなり微細な音まで深く聴くことができます。これ? リスニングイヤホンとしてだけじゃなくモニターイヤホンとしても使えるのでは? と思ってしまいました。
そして今回最も注目していた低域です。
追加された6mmDDの存在感がしっかり感じられました。CastorやVaderほどのド迫力の重低音を求めるのは無理としても、十分に沈み込むベース/サブベースが音全体に厚みを加えて良いバランスになっています。
正直、低域好きのボクにはそれでもまだ量感不足に感じましたが、モニター的に聴くならむしろこのほうが良いと思えるバランスです。もし6mmDDが搭載されていなかったなら、もっと高域に軸を置いた腰高のシャリつくイヤホンになって、一発で候補外になっていたはずです。
音場は、KZの最新機種であるCastorやVaderと比較して明らかに広めで気持ちの良いサウンドステージが得られますが、スマホ等で平面駆動ドライバーを鳴らし切るにはパワーのある外部アンプとバランス接続が必須なので、最低でも1万円程度のUSB-DACを用意したほうがいいでしょう。できればデュアルチップ搭載の高出力DACがあればイヤホン本来の性能を発揮できるはずです。
3.5mmシングルエンドで聴く選択もありますが、せっかくこれほどの高解像度モデルなので、Symphonyのポテンシャルをバキバキに引き出したければバランス接続一択ですね。
エイジングを続けていって『高域』の刺さりがどんなふうに変化していくのかはまったくわかりません。今より刺激的な『暴力イヤホン』になってしまうか、あるいは中域/低域側に寄って大人しくなってくれれば、お気に入りリスト入りもまだ可能性が残っていると思います。
とにかくこのハデ子ちゃんであるSymphonyは、いい距離感で付き合わないと、性格も本心もまったく読めないプチ問題児なのでした。
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【KZ Symphony】
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