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まじめなイヤピのお話

こんにちは。あら50りっぷです。

今回はイヤホン本体のレビューではなく、最適解を導き出すのがとても難しい「イヤピース」選びについて(個人差はもちろんあります)レビューします。

イヤホン+リケーブル線材とのマッチングも相性に左右されるものですが、イヤホン+イヤピースのマッチングもなかなか重要な要素です。
ボクが普段からお気に入りで使用している <というかこれ以外はほぼ使わない> イヤピースについて、それぞれのメリット・デメリットを交えながらご紹介していきます。まずは前置きから。

1 遮音性とフィット感で選ぶ
まずは基本ですが、自分の耳にあうサイズのイヤピース(以下、イヤピ)を装着しないと突然耳ポロしたり、遮音性が十分得られずそもそもいい音にたどり着く段階までも行けません。人によって耳の穴のサイズやかたちは様々ですからイヤピは最適解を導き出すのがとても難しいのです。ボクの場合、耳にフィットするサイズは12.6〜13mm径を選んでいますが、このサイズが意外と難解なのです。メーカーによってはMサイズだったりLサイズだったりするし、シリコン厚によっては同じ13mmでも装着感がまるで違うからです。豊富なサイズ設定を持つ専門メーカーではMとLの中間にMLサイズというのが存在するので合わせやすいのですが、これらは往々にして高額商品になります、、、。ですから細かなサイズ設定がない場合にはLサイズを購入するようにしています(小さいサイズは全く使い物にならないので)。

2 好みの音質に合わせて選ぶ
ではサイズがあっていれば良いのかというとそう単純でもなく、イヤピの素材やかたちによって音質が大きく変化するので注意が必要です。

ボク好みのリスニングイヤホンの音質は、 ”寒色系のドンシャリで、高音域はヌケの良い硬めで金属質なカリカリした音、ボーカル帯の中音域はナチュラルで明瞭が必須条件、低域はベース・サブベースが重厚にやや強調気味にチューニングされている音” です

この音質を目指そうとすると、必然的に選択肢から外れるのがウレタンフォームのイヤピです。

ウレタン製は高域を減衰しウォームな音になる

ウレタン製は遮音性こそ高いものの全体的にウォーム傾向になり、高域の明瞭度を減衰させてしまうからです。ですからボクはシリコン製イヤピから選ぶようにしています。KZ の中級イヤホンなどは純正のウレタン製イヤピが付属して来ることが多いのですが袋も空けないまま眠らせています。逆にウォーム傾向の音が好きな方、高域の繊細さを少し優しくしたい場合にはウレタン製のイヤピをオススメします。

3 低域(ベース)重視かどうかで選ぶ
ほとんどのイヤピが傘も軸も同素材で作られるのに対して、イヤピ専門メーカー製は軸部分に厚い硬質素材を使用している場合が多く見られます。ノズルに装着するのに一苦労するほど硬いものもありますが、この厚い軸が音質の差に大きな影響を生み出します。硬質軸のイヤピは、同素材のイヤピに比べると音にメリハリが加わり、高域の明瞭度がアップし、低域の量感も増加する傾向があります。重低音(ベース・サブベース)重視と考えている方はこの「軸素材」に注意してイヤピを選ぶと良いと思います。

ただし専門メーカーのイヤピは非常に高価なものが多く、左右ワンセット(あるいは2セット)で2,000〜3,000円するものがほとんどです。おいそれと手が出るものではないのですが、実は辛抱強く探せば、安価なイヤピの中にも決して引けを取らない高性能なイヤピを見つけることができます。後で紹介するのでしっかり読んでくださいね。

…前置きが長くなりました。
ここからボクが常用しているイヤピ、満足できなかったイヤピについて紹介していきましょう。

◆AZLA Sedna Earfitlight Short(現在は廃版) MLサイズ

5年前にボクがTWSにハマっていた時代からずっと使い続けてきたイヤピです。現在は廃版(に近い状態)になっていて本当に残念です。amazonでも入手が困難です。定価は結構します(それこそ1セット2,000円くらい)。

医療用シリコンを使用しているので長時間装着していても痒みなどが出ることなく、衛生的で耳にも優しい素材となっています。傘素材はドライでホコリの付着もあまり気にしないで使用できます。ちなみにスケルトンバージョンもありますが、どうやら素材が異なるらしく、黒モデルのほうが硬質な音で低域もより強調されるように感じます。スケルトンバージョンはほんの少しソフトな音になります。

軸がshortバージョンでないEarfitlightは販売していますが、装着感も傘の素材もまるで別物なので、ボクは限られたイヤホンにしか使いません。

Earfitlight shortの優れたところは軸が厚く硬質なところと、傘の素材も厚目なこと、そして開口穴が大きく設けられている点です。一般的に開口穴が大きくなると高域のヌケが良くなり明瞭度が上がります。逆に小さいと低域の量感を増加させる傾向があります。ボクはできる限り高音域をクリアにしたいので、開口穴の大きなイヤピを常用しています。Earfitlight Shortは耳への攻撃性の低さ、遮音性の高さ、高域の明瞭度、ボーカル帯のナチュラルさ、低域の量感ともにバランスに優れています。カテゴリ分けするならやや低音強調のイヤピに分類されるでしょう。サイズも豊富に用意されていてボクはMLサイズを使用しています。在庫は手元にある限りになってしまいましたが、どのイヤホンと合わせてもほぼ完全にマッチングできる「神イヤピ」だっただけに本当に残念です〜。

◆AZLA Sedna Earfitlight(ノーマル)Mサイズ

ノーマル軸長のタイプですが、軸や傘の形状もshortバージョンとは全く異なるので別物ですね。

写真のとおり軸長も若干長めなので、ノズル長が短目のイヤホンに組み合わせると適正な装着感を得ることができます。しかし最近はノズル長の長いモデルのほうが多いのでなかなか使用する機会がありません。高域は明瞭ですが、低域の量感はやや減衰気味です。音質もメリハリのある音というよりは全体的に優しい音になります。


◆AZLA SednaEarfit XELASTEC  Mサイズ

SednaEarfitの新シリーズですが、はっきり言って好みではありません。これまで傘の素材がドライ系だったのに対し、このモデルから妙にウェットなゴムっぽい素材になってしまって耳入時にも粘着するからです。ホコリも付きやすいと感じます。傘と軸が同素材のモデルですがどちらにもかなり厚みがあり、形状も平べったい台形形状なのでストレスを感じます。旧シリーズの装着感とはかなり違いフィット感にあまり満足できません。価格も2セット2,000円以上とかなり高額なのもおすすめできない点です。同じMサイズでも、Lサイズくらいに大きく感じました。再購入することはないでしょう。

◆AZLA SednaEarfit Crystal MLサイズ

こちらもSednaEarfitの新シリーズですが、同様にあまり好みではありません。これもウェットなゴムっぽい素材で耳入時に粘着します。ホコリも付きやすく定期的にクリーニングが必要です。傘と軸は異素材ですが、どちらもかなり厚みがあり台形形状なのでフィット感を損なっています。価格も2,000円以上とかなり高額なのもオススメできない点です。Earfitlight Shortと同じくMLサイズを購入しましたがかなり大きく感じます。Mサイズを選べば良かったかもしれませんが… ボクには合わないだろうなと感じています。本当にEarfitlight Shortを復活させてほしい~


◆Audio Technica finefit スペアイヤピース ER-CKM55   Lサイズ

今年掘り起こした安価でありながら高性能のイヤピースです。商品としては足の長いモデルのようですし「Audio Technica」はオーディオブランドなので品質的に問題はないでしょう。amazonでは3セット(6個)で660円、ビックカメラなど量販店ではセールで300円のびっくり価格で購入することができました。傘の素材はEarfitlight Shortによく似たドライ系シリコンでホコリも付着しにくく耳入れもソフトです。円形状で高さ(深さ)は少しあり、耳穴に深く挿入するような感じになります。

同製品には色違いでブラックもありますが、スケルトンホワイトのほうが素材的に耳にフィット感がよく、開口穴も少し大きいように見えます。Earfitlight Shortの代替品としての可能性を感じたので、見た目にも美しいスケルトンモデルを在庫のあるうちに大量買いしました。

傘と軸は同素材ですが、軸がしっかり厚めに整形されているので硬質軸と同じような効果が得られるようです。傘素材も厚目なので遮音性も十分担保できます。開口穴は中程度ですが高音域は明瞭なままなので影響ありません。こちらはMサイズだとやや小さ目に感じたのでボクはLサイズを選びました。

唯一の弱点は軸径がかなり細いことです。太いノズルのイヤホン装着するには一苦労しますが、滑らせて広げながら差し込めば問題なく装着できますのであせらずに取り付けてみましょう。一度装着してしまえば何度も取外す必要はないので問題にはならないでしょう。しっかり装着できることのほうがメリットです。これは新たな選択肢としてかなりオススメできる製品です。

◆ELECOM SPARE EAR CAP EHP-CAP20L Lサイズ

これもまた、ごく最近掘り起こした新しいイヤピースで実はかなり気に入っています。こちらも3セット(6個)でセール価格で290円と、超安価なわりには傘と軸が異素材で整形されていて、写真の通り厚目の軸が特徴です。

Audio Technica製よりも軸径が太く素材も柔軟で、ノズルへの装着が楽にできます。傘の素材はほんの少し薄めなのですが、装着しても遮音性は十分担保できているし、耳穴へのストレスがとても少ないのでなかなかの掘り出し物です。サイズはこちらもMサイズよりLサイズがフィットしました。amazonで安価に手に入れられる商品なので、見つけたらぜひ大量買いをおすすめします。


◆TRN 角笛 Lサイズ(茶)

見た目にも可愛らしい形をしていて傘素材がめちゃくちゃソフトなので耳入れの良さではピカイチです。角笛という商品名の由来か? 開口穴がアヒル口のような形状でかなり大き目にとられているので高域の明瞭度は結構高いです。ただカリカリ音というよりはややソフト傾向です。こちらはMサイズはやや小さめ、Lサイズはやや大きめとともに微妙に耳に合いませんでしたが、耳入れがソフトなのでLサイズを装着してもストレスを感じることはありません。唯一の欠点は軸径がかなり太めなので、ノズルの細いイヤホンには装着するのには向かないということです。軸長はやや長めですが、どのイヤホンとも合わせやすいと思います。amazonで3セット(6個)で900円から購入できるので比較的リーズナブルなイヤピと言えるでしょう。耳入れがとても優しいので、男性にもオススメですが、Sサイズを女性用にプレゼントするなどしてもいいかもしれません。とにかく形状がかわいいイヤピです。


◆TRN Tips

最近のTRNの新機種に純正で付属してくる、高域強調効果のある新しいイヤピで、ちまたでは高性能と言われています。傘と軸が異素材になっているモデルですが、どちらも比較的薄めで柔軟です。開口穴が小さめなわりには音質的にデフォルメされた金属音のキラキラした響きが特徴的です。使用されているシリコン素材はウェット気味の粘着質で耳入れしたときも粘着感があります。ホコリが非常に付着しやすいのもデメリットでしょう。これはMサイズが通常のSサイズくらい小さいので、男性なら迷わずLサイズを選んだほうが無難です。TRN Tipsははっきり言ってイヤホンとの相性が難しく、高域が籠もったように感じる旧タイプの1DDイヤホンなどに装着するといくらか高域を強調してくれますが、一方で低域の量感をかなり減衰させるため、音のバランスを保つのが難しいイヤピです。ですからボクは手持ちのTRNイヤホンにもこのイヤピは使用していません。今後相性の良いイヤホンは現れるでしょうか?


◆SednaEarfit MAX Mサイズ

ゲーミング/寝ホン用イヤホンでありながら、amazonセールで1,300円程度で安価に購入できるAZLA ASE-500 には、医療用シリコン採用のイヤーピース SednaEarfit MAX が3サイズとSednaEarfit MAX for TWS が3サイズ付属してきます。イヤピだけで3,000円以上するものが、イヤホンとセットで1,300円で購入できるためボクもこの方法で手に入れました。写真のようにMAXも軸が太く、音にメリハリを付加してくれるイヤピです。

MAXの特徴は、とにかく傘のシリコン素材が超ソフトで柔らかいこと。フィルター(ハニカム穴)まで同シリコン素材で整形されていて、耳入れのソフトさは信じられないくらい「ノーストレス」です。何も耳に入れていないような感覚は、他のイヤピでは絶対に味わえないでしょう。これは断言できます。開口穴が大き目なので高域のヌケの良さと明瞭度が特徴ですが、一方で低域をほんの少し減衰してしまうため唸るような太いベース、沈み込むサブベースがどうしても味わいたい人には注意が必要です。でも過去のKZシリーズのような超重低音イヤホンをフラットに近づけたい場合などにはすごく重宝すると思います。
耳入れの良さを活かして長時間チルタイムを楽しむ場合や、通勤時のTWS用として常用することもできます(普通にTWSに装着できますし充電ケースにも収納可能です)。イヤピ単体で購入すると結構高額な商品ですが、上記の方法で手に入れれば相性の合うイヤホンをきっと見つけることができると思います。このイヤピはイヤホンとの相性さえ合えばベストチョイスになるはずです。

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以上、高音質イヤピの選択の難しさをご理解いただけたかと思います。音に対してそこまで神経質でない人には純正でも問題ないかもしれませんが、コスパの高い高性能なイヤピは試してみる価値はあると思います。今後の皆様のQOLアップのためにも、少しでも参考になれば幸いです。







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