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スタートアップが成長していくうえで、営業企画として戦略的に取捨選択してきたことを書いてみました。(業務改善編)

皆さんはじめまして。リーガルテック企業で営業戦略・企画を担っている毛利(もうり)と申します。
私が所属するLegalOn Technologiesは、創業6年目にして従業員500名規模と、短期間でものすごい成長を遂げています。
しかし、ここまでくるのに全て上手くいっていたわけではなく、企業が急速に成長していくうえで全体の生産性を低下させないためにやむなく置いてきたこと、捨ててきたこともあります。
今回は、自分が営業企画として戦略的に取捨選択し、変化が激しいスタートアップならではの環境で生産性の低下を防いだことを、少しだけ書きました。


プロフィール

1社目
はじめに私の経歴からですが、新卒で証券会社に入り、新規開拓を主として個人営業と法人営業を経験しました。
そこでは、覚悟を持って取り組むという仕事の向き合い方を学び、1日に300件の架電に加えて、法人と個人宅への営業を毎日して、夜には同世代と飲んでという日々を2年間過ごしていました。
営業として高い成果は出せず、トッププレイヤーにはなれなかったのですが、今でも現場メンバーと同じ視点で会話できる背景は、上記の通り、証券会社で休みなく新規開拓をしてきた営業経験のおかげだと思っています。

証券マンとして働いているうちに他の魅力的なサービスを見つけ、よくその業界のことを調べるようになったのですが、徐々に自身が興味のある業界に席を置いていないことに疑問を感じ始め、転職活動を始めました。

2社目
辿り着いたのが、仮想通貨を取り扱うIT企業です。
ここでは、社内の業務改善コンサルみたいなことをしていて、1~2週間でVOC(Voice Of Customer)のシステム構築やデータ収集の仕組みを作りました。
VOCは自分が退職した今でも使用されており、長期的に活用できるオペレーションを構築できたことで、こうした仕組みづくりの仕事が自分の得意分野だと発見できました。
この時の経験が、現職にも繋がっています。

ここで3年間働き、部門の業務改善に携わることができたのですが、もっとインパクトがあって、自分の強みを活かせるような場所で挑戦したいと思い、転職活動を開始しました。

転職活動中は企業規模に関係なく、成長産業で事業を展開していて、かつ業務改善の余地がある企業を探していました。
そこで、2021年3月に当時200名未満の小規模企業だったLegalOnに辿りついたんです。

何を取り、何を捨てたか

当初の状況
そもそもLegalOnの当初の状況から説明すると、Salesforceに営業のデータを入れておらず、各部門のExcelやスプレッドシートに数値等を記録していました。
そのため、営業組織全体のデータを可視化・管理ができず、部門を越えての振り返りや施策考案、お客様や予算の管理さえできていませんでした。
また、営業企画にメンバーはいたものの、他部署との兼務をしていた状態だったため、営業企画に集中して業務改善に取り組むことができておらず、かつSalesforce自体も不具合が発生し、毎月40件くらい手修正を行っていました。
このような状態だったため、営業メンバーが行うべき日々の業務フローも定まっておらず、属人化された体制になっていました。
営業全体としては、数字の目標に対して精度の高い着地点を出す必要があり、目標とギャップを埋めるために施策を回すことが求められていましたが、この状況では施策を回すためのデータ分析ができないため、データを集める仕組化から開始しました。

取捨選択の「取」
まず、実行を決めたこととしては、データを管理できる体制を作ることです。
当社はTHE MODEL型の営業組織になっており、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスと分かれているので、各工程に携わる方へヒアリングをして、セグメントごとに行動や数値を記録してもらえるよう依頼をしました。
データ管理ができなければ、KPIの目標設定や進捗管理も曖昧になるため、管理体制を整備することによりKGI⇔KPIの互換性を生み出し、振返りとその後の具体的な施策検討ができる体制を作ることに集中しました。

取捨選択の「捨」
反対に、数字に関連しない物事の完璧な仕組み化を捨てました。
一例ですが、受注理由や失注理由は複数の選択項目を用意してあったため、プルダウン式で記録することが出来ましたが、更に細かい粒度でデータとして入れたいという要望があった際には、選択項目を増やすのではなく、営業担当者によるフリーテキストでの記載としていました。
当時創業4年目だったこともあり、市場も開拓されておらず、そこまでの緻密さは求められていなかったことと、この時点で整え過ぎた場合に営業担当者の工数がかかってしまう恐れがあったということが背景にあります。
市場が開拓されていない2021年当時は、顧客の状況も変化し、社内環境の変更やサービスのアップデートも頻繁に発生するため、個別理由がどんどん変わっていく状態でした。
急成長をしているフェーズにおいて、楽になるからと安易な気持ちで仕組み化をしてしまうと、変化に弱くなるというデメリットがあります。
また、仕組み化に伴うルールも細かく設定する必要があり、むしろ生産性を大幅に下げてしまうというリスクもあります。
そのため、頻繁に見に行かないデータは敢えて面倒くさいまま置いておき、必要になったら逐一データを見に行くという状態にしました。

更に、過去の穴あきデータを埋める作業も捨て、2021年4月以降のデータから綺麗にすることに振り切りました。
事業が急激に伸びている段階で、過去の信頼性の低いデータを整備することは、事業推進を止めることとなり、多くの労力と時間を使うことになります。
過去のデータを見られないということは、営業担当者にとって状況の把握が不可能になりますが、2021年4月まではそれでもなんとか上手く回していたという事実があるので、改めて掘り返さず、以降のデータから着実に積み上げていくことにしました。

改善の先にあったもの

これまでの施策でどのくらいの効果を発揮したのかという点ですが、実際は全体に対して緩やかに影響を与えていますし、2年前にやったことが今に繋がっているものもあります。
例えば、MRR(Monthly Recurring Revenue、毎月継続的に得られる収益のこと)における変化率の元指標が出せるようになり、投資家への方針説明における絶対的な根拠を提示することが可能になりました。
また、CM放映時の効果測定が随時可能になり、市場の状況把握による営業行動の方向性を適宜修正できるようになったため、根拠と次の行動を紐づけて適確な営業活動の促進に近づけました。
更に、フローを整えて数値化されることで、1年の間に200人から500人に社員数が急増しても、問題点の究明を誰でもできるようになり、次の行動を即座に意思決定できるようになりました。
ベンチャーによくある人数の壁は、当時のLegalOnの場合だと300人、400人の壁のはずですが、この壁自体がないまま500人に到達することができたのは、2021年に改善した仕組み化によるものだと思っています。
これは、100人、200人の壁にぶつかった頃の反省が生きており、営業リーダーの感覚だけでは捉え切れなくなってきた方針を、数値化によって一つにしたことでなんとか乗り越えられてきたと考えています。

これからしなければならないこと

LegalOnには、これからも取り組まなければならないことが本当にたくさんあります。
継続的にやらなければならないことだと、営業戦略の設計・モニタリング・改善案策定などが挙げられます。
そもそもLegalOnは開発スピードがものすごく速いので、新機能リリースに付随する定常業務だけでもボリュームがあります。
このボリュームのある定常業務に加えて、開発スピードに置いていかれないよう、こちらの回転力も必要になりますので、日々の業務を回すだけでも難易度が高いです。

次に、アーリーフェーズ時に構築した仕組みの改善です。
当時は通用した仕組みが、レイターフェーズになってくると今の組織体制や運用にそぐわないということが発生します。
業務や仕組みは、2年くらいで新陳代謝していくことが理想なので、抜本的な見直しをこれからしなくてはならないと思っています。
ただし、業務や仕組みの変更によってメンバーの混乱を招くこともあるので、解消できるというメリットを明示し、デメリットと相殺できることを説得する必要があります。

ということで、今のLegalOnは業務において大きく修正をかけていくと同時に、これまで仕組化してきたものも大きく一新するフェーズであるということです。

最後に

LegalOnは、シリーズDラウンドの資金調達や米国進出を果たし、2024年には渋谷への移転もあるなど、毎年大きなイベントが発生しています。
従業員数も、創業6年目にして約500名にもなりました。
しかし、会社もサービスも完成しておらず、あらゆるところで立ち止まっては修正し、構築するということを繰り返しています。

周りから見たら綺麗に見えていても課題はたくさんありますが、その課題の数以上に変革を起こせる可能性も広がっています。
法務業界の課題解決に加え、今後の事業戦略や社内の改善も含めて、多くのニーズがある企業です。
そんな環境で何か大きなことを成し遂げたい、私と一緒に働いてくれる方がいれば、是非来てほしいです!

▼募集要項・募集職種:LegalOn 採用サイト

(私としては営業企画・SalesOpsに応募してほしいな…皆さん待ってます!!)

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