【光あつめ(一部分)】

例えばそれは、光に似た気持ちである。
かなり近く言えばぽかぽかとした気持ちで、からからと乾いた温もりに心洗われるような光だ。時にそれはガラガラと音を立てて、心を蟻穴として体まるごとなし崩しになるものでもある。その時というのはともかく真っ暗で、自分は木製の小舟であり、貴方もとい世界は時化の海原として自分を轟々と襲う。きっとそれは無自覚で、だからこそ残酷に。この勝手な破滅の時の”光”は、せいぜい稲光である。一瞬の閃きで明らかになった世界は、かくも惨い。強いて言うなら「光がない」という心持ちだ。

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