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自己紹介への道のり👜

🟡月🌕日
自己紹介バッグをずっと探している。
気がつけば1年以上が過ぎている。
こんなにも長い間、自分探しを続けているなんて。

ファッションアイテムの中ではバッグ選びが苦手なのだ。色や形、重さ。用途に合うか。機能は十分か。
あらゆる機会に持てるものをと考えてしまい、吟味しすぎて決断ができない。

せめて用途が決まっていれば選択肢は狭まるのにと考える日もあり、別に買わなくても良くない?という気分の日もある。
私は何でバッグのことを考えているんだっけ。

🟢月🟢日
用途について考えてみよう。
毎日のように使っているショルダーバッグがある。サッカー観戦(雨の予報が出ていた)のために前々日くらいに見つけたもの。
ほら、用途がはっきりしてればすぐに決断ができるのだ。

全天候型の素材に機能的なつくり。アウトドアブランドのもので、使い勝手は申し分ない。
ただ、これでどこにでも行くかと問われると、ちょっと抵抗がある。

このバッグで気後れするような場所へは大きめの綺麗目バッグを連れて行く。しかし、中身が大して入っていないバッグを抱えるように運ぶ姿は本意ではない。
もっと身軽にお出かけしたいなあ。

🟠月🟠日
行きたいところに躊躇することなく出かけたいのだ。あるときは装いの支えとなり、あるときは心の支えとなるような、とびきりのバッグが欲しい。これまで見ていたブランドにこだわらず、もっと広い範囲で探そう。

🟣月🟣日
今日は3つの小さなバッグに出会った。
みんなとてもかわいい。
ひとつは昔から愛着のあるデザイン。他の2つは今現在の自分より、少し未来の私に似合うような雰囲気だった。

品番をメールで送ってもらうようにお願いした。根拠はないけれど、この先1ヶ月くらいのうちには決める予感がした。

🟡月🟡日
あれから1週間、届いたメールに添付されていた写真と公式サイトを代わる代わる眺め、バッグのことばかり考えて過ごす。

いよいよ、決めるときが来たのかもしれない。
でも少し引っかかってもいる。
あと一歩の決定打に欠けているのだ。
明日、もう一度見に行こう。鏡の中の姿に電流が走ったらお迎えしよう。

夜、本物の「津軽海峡冬景色」を拝聴する機会に恵まれた🥹 ステージ上のさゆりさんは本当に素晴らしかった。
偶然とは言え何故このタイミングなのか。
サプライズ前夜祭が開催されたのかもしれない。

謎の高揚感の中、かすかに心の声が聞こえてきた。あのバッグは違うよ。歌声にかき消されそうな小さな声が。

素敵なバッグが欲しいなら堂々とお迎えすれば良い。でも自己紹介というのなら、私の立ち位置はそこじゃないのかも。

🟠月🟠日
私はまたバッグ売り場に向かった。
ブランドにこだわらずまた端から見ていこう。
何度でも試着をしよう。

通りがかりに素敵なスカーフが、色とりどりのスカーフがディスプレイされていた。吊り下げられた一枚に手を伸ばそうとするとスタッフさんがささっと私の首に巻いてくれた。

鏡を覗くと思わず声が出た⚡️
お気に入りのコーディネートがピリッと締まり、極上の(当社比)私が写っていた。
スカーフのことをアクセサリーとも呼ぶらしいが、まさにアクセサリーである。

他の柄も試したが、最初の柄がダントツに良かった。周りを見回すと、何人ものスタッフさんが同じブランドのスカーフを巻いていることに気がつく。そこかしこに花が咲いていた💐
春の到来にワクワクしながらお会計を済ませた。

さて、バッグである。
今日会えなくてももうソワソワしないだろう。だって素敵なスカーフを見つけたのだから。昨夜のこともあって揺れに揺れていた気持ちはすっかりニュートラルに戻っていた。

これまでも何度か試着はしていたブランドで、こんなバッグを探していると伝え、いくつかを持たせてもらう中で、今まで見かけなかった形のバッグを見つけた。今春の新作だという。
この新作にすっかり心を奪われてしまった。

バッグを買うにあたって決めていたことがある。
一つのアイテムだけでなく、その世界観にコミットできるブランドから選びたかった。
だから、スタッフさんが、スマホでコレクションの写真を見せてくれたときに、ディレクターさんの話をしてくれたときに、ああ、このおすすめのされ方は私が求めていたお買い物の仕方だと思った。

そして、お洋服も気に入ってもらえると思います。お似合いになりそうですとの言葉にギュンと心を掴まれたのである。

さっきスカーフを買ったのです。あのバッグとスカーフは合うでしょうか?
思い切って尋ねてみた。
すると、この色は今季のカラーと同じですねと、お財布を取り出しながら微笑むスタッフさん。
スカーフに散りばめられたあの色の財布もこの色のバッグも棚に並んでいた。

なんと、スカーフとバッグは繋がっている…!

随分と長居をしてしまった。
今すぐには決められないけれど、近いうちにまた来ますと伝え、売り場を離れた。ドキドキしながらエスカレーターに乗り、気がつくと服売り場に立っていた。気持ちを落ち着かせるためにフロアを一周してからバッグと同じブランドの売り場へ向かい、思い切って試着を申し出たのだ。

セットアップをまとった私の周りを清涼な空気が包んでいた。私はこの感じになりたい…!

いろんな感情が押し寄せてきた。
「なりたい」を体験してしまった。

近くのカフェでコーヒーを飲みながら、スマホでブランドのサイトを眺める。画面の中にはさっき感じたばかりの心地良い空気が満ちていた。

バッグ売り場に引き返すと、先ほどのスタッフさんは不在であった。別の方に事情を話し、待つこと数分、駆けつけてくれたスタッフさんの顔を見た瞬間に涙が溢れそうになった。

そして今、私の手元にはあのバッグがある。
行きたいところにはどこへでも連れて行ってくれる素敵なバッグ。いや、私がバッグを連れて行ってあげよう。

この日記の冒頭からエンディングまでの話はおよそ半年間の出来事である。いろいろなことを考えに考え抜いた濃密な時間だった。
今はとても清々しい気持ちだ。

「コイン」という名前のそのバッグにつけられた円形のパーツは私にとっての「太陽の塔」なのだ。子供の頃から太陽の塔のことを自分の守り神のように思っていて、近くを通るたびに心の中で挨拶をしていたほど思い入れがあるオブジェが、今は手元にあるなんて。

いつかガールズの皆さんにお披露目する機会があるだろう。そのときは、ここには書かなかったエピソードを話してしまうかもしれない。そしてきっと私らしいと感じてもらえることと思う。

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