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★28 Cパート『天官の学舎』

 本編の解説&考察はちょっとお休みして。
 アニメ1期8話終了直後の感想コメントに、「大変だ。傘作ってる場合じゃない」というのがあって、何のこっちゃと思っていたらCパートのことだった。
 8話〜10話にはエンディングの後、『天官の学舎(てんかんのまなびや)』という中国の無形文化財を紹介するコーナーがある。日本語吹き替え版本放送時はアマプラ版にしかなかったようだ。
 私は今、J:COM見放題パックの映像(『天官賜福』は2025年3月末終了)を観ながら一連の記事を書いているのだが、それにもあるので、観れなかった方々のために紹介しよう。(但し、私の耳による文字起こしなので、間違っていたら指摘訂正をお願いしたい。)

 「こんにちは、謝憐です」「僕は三郎」「アニメ天官賜福で学ぶ中国の伝統的な文化。『天官の学舎』へようこそ」から始まるこのコーナー。ほぼ二頭身の二人が交互に画面の説明をしてくれる。

 8話は「福州の油紙傘(ふくしゅうのゆしがさ)」。
 まずは画面に映る人物の紹介。油紙傘を継承する職人「イエン・レイ」さん。職人歴十二年とのこと。油紙傘の歴史は古く、昔ながらの趣のある縁起物で、古代から人々に愛されている、と。
 油紙傘の製作工程はとても複雑で、全部で83もあり、完成までは三十日以上。この福州の伝統的な傘づくりには、骨組み・本体・頭部・傘の柄・図案などがあり、材料の竹は三年から五年の孟宗竹を使用。紙は油紙から作られた福建省の綿紙のみを使っている。
 続いては竹に穴を開けて骨組みを作る工程。傘の端を繋いで(画面を見ると糸で固定しているのが分かる)、紙を貼っていく。そして図案を描き、いくつかの工程を経て、傘を天日干しにすると硬くなる。最後に桐油を表面に塗って完成。
 油紙傘には花や鳥、山水などが多く描かれる。『天官賜福』とイエン先生がコラボレーションした油紙傘は、紅色をベースに銀の蝶があしらわれている。

 興味のある方は「福州の油紙傘」で検索するといろいろ出てくる。
 私のお勧めは、「吉祥と祝いの油紙傘 消滅の危機から甦る」
 但し、このページには「安全ではありません」との警告が付いているのでご注意を。

 9話は「澄城の刺繍(ちょうじょうのししゅう)」。
 職人の「ダン・ジューシャン」さんは(当時)七十一歳。十三歳の時に刺繍を学び始め、今では無形文化遺産「澄城の刺繍」を代表する継承者。澄城刺繍は針目が細かく、花の模様はシンプル。色と配置の調和はまさに絶妙。一般的な刺繍と違い、図案は彫刻刀で彫ったようにはっきりしている。縫い目の隙間もほとんど無く、一枚の絵のようだ。
 ダンさんの作品は生活に根ざしたものが多く、子供用の虎の帽子は虎のように強くとの願いが。虎は澄城刺繍を代表する図案で、アイマスクに刺繍された虎はまるで生きているかのよう(現実の虎にそっくりという意味ではなく、今にも動き出しそうなという意味)。現地の伝統的な風習では、婚礼行事の際、縁起の良い刺繍が多く使われる。
 一方、猫の刺繍は財産の守り神。花嫁の肩掛けには縁起の良い物が刺繍され、子孫と一族の繁栄を祈願している。赤いベールには鮮やかな鳳凰と牡丹が美しく刺繍されている。

 「澄城刺繍」を私もネットで検索してみたが、こちらはほとんどが中国語のページで、強いて言えば「無形文化遺産伝統織物・刺しゅう・染色展が開幕 中国海南省海口市」くらいか。話に出てきた虎の刺繍作品が載っている。
 とは言え、写真はあちこちにいろいろあるので、興味のある方は観てみると結構楽しめるだろう。
 話の中でダンさんが刺していた作品は、どうやらオリジナル版アニメのタイトルに出ている物らしい。このページのTOP画像にしてみたので、ご覧頂きたい。

 10話は[新粉細工(しんこざいく)」。
 新粉細工とは人形細工。八十年代生まれの「チャン・シュージア」さんは、新粉細工の三代目の継承者。
 伝統的な新粉細工は、生活に身近なものを材料としている。小麦粉や餅米の粉、蜂蜜、塩、食用防腐剤…。制作には「グアズ(と聞こえるがよく分からない。画面を見る限りヘラのようだ)」という道具を使う。平たい面で、眉や唇や髪といった細かい部分を仕上げ、もう一方で鼻などの突起を作る。まさしく制作を支える道具だ。
 他にも櫛を使えば、動物の爪や人の髪の毛、肌などの質感を出すことができる。ハサミは手の細かい部分(指など)を作るのに使う。でもやっぱり、決め手は芸術家の手。道具がなくても、手だけで創作できる。
 今回の新粉細工とのコラボレーションは、ジャンルを超えた伝統文化の継承。
 どんな人形細工ができあがったのか、お楽しみに。

 …と言うのだが、残念ながらその作品は映らない。製作工程を見ていると、どうやら可愛い謝憐の人形のようだ。
 ネットで「新粉細工」を検索すると、結構いろいろ出てくる。
 中国では新粉細工を「面塑」と言うようで、私のお勧めページは「面塑|中国民間工芸品」。旅行会社のページのようだが、面塑(新粉細工)について詳しく説明されている。

 以上。今思うと「★8 花城の衣装」で紹介した動画も、このコラボの一環だったのかも。どこかの回の後ろに付ける予定だったのかも知れない。私としては、毎回付けてもらって、もっといっぱい観たかったなあ、と。
 Cパートが三本だけだったのは、もしかすると中国で『天官賜福と伝統工芸』のようなイベントがあって、その宣伝用の映像だったのかもと思ってみたり。

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