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17 縮地千里

 今回は解説ではなく、ただの私見による考察なので、タイトルの星印は抜いている。本当にどうでもいいことを長々と考えているだけの話だが、よろしくお付き合い願いたい。


 通霊陣で半月関について尋ねようとした謝憐だったが、風師(フォンシー)が気前良く功徳を撒いて取り合いになっていたこともあり、誰も彼に返事をしてくれない。唯一霊文は事情を聞いてくれたが、関わらない方がいいと言われてしまう、「この天界では、追及しない方が良いこともあります」。
 通霊を終えた謝憐は、半月関へ行くことを決意する。ついて行きたい三郎は、半月妖道の話を持ち出して謝憐の気を引こうとするが、そこへ南風と扶搖がやって来る。

 南風+扶搖 vs 三郎、である。この構図はこの先もずっと続くと思われる。
 互いの正体に、それぞれ心当たりのある様子が伺えるが、たとえそれがはっきりしたところで変わりはない。理由を言うことは出来るだろうが、その理由に頭では理解を示せても、気にくわないものは気にくわない、となってしまいそうな気がする。特に三郎は煽りがちだから。
 でも皆、謝憐を心配してのことなのは間違いない。どうもこの三人は、謝憐の保護者的立ち位置にいたいようだ。謝憐はしっかりしてると思うけど、何かと無茶をやりがちだからだろう。繊細に見えて結構豪胆な人だと思う。

 さて。半月関までの道のりは遠いので、縮地千里(しゅくちせんり)の術を使っていくことになる。(余談だが、この時の会話の中に「地師(ディーシー)」が既に出ている。)
 縮地は、仙術によって土地を縮めて距離を近くする法、と私のエディタの辞書が教えてくれた。千里というのはものの例えだろう。千里の距離も一瞬で、というようなことだと思う。

 とても便利な術のように思えるが、万能では無いらしい。というのも、この術で何処へでも行けるのなら、直接半月関へ行けばいいからだ。術者の能力によって移動できる距離に違いが出るのかもしれない。
 中国の現在の単位でいうと、一里は500mなので、千里なら500kmになる。あの空殻が500km以上離れた場所からやって来たというのは、作り話にしても不自然なので、半月関までは千里もないはず。それなのに行けないのは、何らかの制限がかかっていると思われる。

 日本語版原作小説(以下、原作と略す)三巻までの間に(特に三巻には)縮地千里が何度も出てくる。それらを見ての私見だが、到着先に一定のルールがある気がする。到着したら扉を開けて外に出る(ちなみに。アニメ1期6話で謝憐たちが出た扉は、原作によれば宿屋の扉。賑やかな町のようだが、話の流れから見て砂漠の入り口にある町だろう)という場面が多いので。行き場所が定点箇所(ワープポイント的な何か)であるとか。
 現代人的な発想だけれど、陣を描くときに何らかの形で目的地の座標を指定しなければならないと思うので、今から行こうとする場所の近くにある決められた場所にしか行けない、というようなことがあるのかもしれない。
 花城が賽子を投げて移動するのも縮地千里の応用だと思うけれど、それを見ていると、誰々の近くという指定も出来るのかもしれない、と思ってみたり。
 もっとも、それを得意としている地師は、もっと自由に思い浮かべた先へ移動出来るようだ。

 これは言ってはいけない気がするが、天界から下界へ降りる時には、好きな場所へ降りられるように思うので、一旦天界へ上がって、もう一度行きたい場所へ降り直せばいいのでは、と思うのだが。
 これも制限があるのだろうか。謝憐の法力が足りないので難しいとか…否々、そんなことはないはず。何度も行き来出来ているようだし。
 まあ、少なくとも三郎を連れて行くのは難しそうだ。

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