メルカリで見つけたもの、それはエージェンシーとウェルビーイング
私がメルカリに出会い、不要品の売買を始めたのは約10年ほど前だったと思う。当初はスポーツをしていた息子たちのために購入したものの、ほぼ新品のままで次のシーズンにはもう着用できなくなったスポーツウェアなどを、誰か必要な人に…と売り始めたのがきっかけだった。例えばこんな感じ。
子どもの成長は早く、すぐ着られなくなるだろうと予測しつつも、でもその時には不憫な思いをさせたくなくてつい買っておいてやるもの。野球のソックスやアンダーウェア、練習用ユニフォーム、スポーツメーカーの高機能Tシャツなど。その時々で我が子たちのスポーツに必要なものを子どもと一緒に選んだり購入したりするのは全て楽しいお買い物の思い出だ。
そうして得た売上金は一時期は合計で10万円ほどにもなった。どこへ消えたかわからないそのお金を今思えば積立NISAなどで運用しておけば少しは増えていただろうと思い後悔している。
現在取引実績は300ほどになり、おかげさまで評価は全て良く、一度も嫌な思いやトラブルを経験したことがない。一回一回の取引が全て良い気持ちで終えられている。
愛や思い出、エピソードと共に次に必要としてくださる方の元へ不要品を格安でお譲りするのは「捨てないで済んだ」「誰かが必要としてくれた」という喜びと感謝しかない。
一回きりの式典用に購入した高級バッグもお探しの方には喜んでいただける。お肌に合わなかった高級コスメなどもお試しに使ってみたいとおっしゃる方が多い。
思いを込めて次に欲しい方、お探しの方へ届くように丁寧に商品説明を作る。現状をできるだけ細かく説明し、より良く写るように、でも実物より良すぎるイメージにならないように気になる部分はきちんとアップにして画像を撮影する。コスメなら残量や購入時期も偽りなく記載する。
良く見せすぎた画像やウソを含む情報で取引し、実際お届けしたときにガッカリさせたくない。
取引を終える際、素敵な思い出のお品を大切に使用します、と喜んでいただけるとこの上なく幸せな気持ちになる。
メルカリでの商品説明は表現力と誠実さが必要とされる。売りたい気持ちが先行すると相手への思いやりや配慮に欠けてしまうことがある。
また取引にはコニュニケーション力がとにかく重要である。商品の様子の詳細を知りたい、とか、もう少し安くならないかな、とか、様々な要望を伝える際には相手に失礼のないように対話することが大切だ。
こちらが誠実であれば、必ずうまくいくし、お互いが納得できる落とし所に到達できる。
顔の見えない、実物を手に取ることのない取引なのだから、売り手や買い手がどんな人かと言う人物像への信頼を持ってもらうことも重要だと思う。例え一度きりでも相手との信頼関係を築く力が必要なのだ。
逆に言うと、これらのことが備わっていれば、多少商品に問題があってもなんとかなる。その後の対応を誠実に迅速に行えば「(問題以上に)良くしてくれた」という良い印象で終えることができる。
いつでも相手の身になり、どう思うか、どう感じるかという想像力を働かせて対応する事だ。
購入する際には、立場は逆とは言え全く同じ力が必要と言える。まず商品説明を読みイメージを持つリテラシーが必要だ。メルカリ事務局が厳しく取り締まっていても偽ブランド品がなくなるのは難しい。最近では転売ヤーとか、中古品を格安で仕入れて高額な値段で売る素人やセミプロのセドラーもいる。それでも欲しいものが手に入ればいいと思う人もいるだろう。でもいずれにせよ納得して購入する必要があり、その為に限られたテキストや画像の情報から本物(この場合は仕入れ品かどうかということも含んで)を見抜く力も必要だ。
購入品が届いた時に心遣いを感じる丁寧な梱包、ちょっとしたメッセージでその品物がどんなふうに扱われてきたかがよくわかって感激することもある。
メルカリでの購入は、自分で引き寄せる人とのご縁、物とのご縁なのだ。
メルカリでの取引を通して学んだこと、見つけたものは、事実や思いを伝える表現力、それを読み取るリテラシー、他者に対する誠実な態度、より良い人とのつながり方のスキルや対話力であり、そうする事で皆気持ちよく無駄を減らして環境にも優しいリユースの実践をすることができるのだ。
それはOECDのラーニングコンパスで述べられる次世代を生き抜くのに必要とされる力(コンピテンシー)であり、逆に言うとそれらの力があれば世界中どこへ行っても何をしてもどうにかなる。
メルカリで見つけたのはエージェンシーを発揮することが生き抜く力であるということ。メルカリでの取引はウェルビーイング達の営みなのだ。
別に大袈裟ではないと思う…
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