薬学博士 佐藤潤平①

薬草の代表選手ヨモギ

   牧野富太郎がテレビドラマで脚光を浴びています。
  30才年下の佐藤潤平は漢薬の植物研究で対象は違いますが、牧野富太郎に負けず劣らず植物天才バカの生涯でした。

  自伝を読むと牧野富太郎同様、植物に関わってきた佐藤潤平の生き方がわかります。

  面白い逸話がありました。

  小さい頃から植物が好き、師範学校時代は植物採集や研究に夢中になり、脅威的な成果を挙げていましたが、他の学科は全然勉強しなかったので、卒業成績はビリ。
「植物及び園芸に関して特別なる技能を有することを証す」という前例のない、証書を受けて卒業したということです。(校長先生もエライ😆🍀)

   24才になった1920年、嘱託教員になった時は牧野富太郎博士のお話を聞きに時々上京しました。
  
   その影響もあって漢薬の研究のため、1921年に中国大陸に渡り、以後、1953年に帰国するまで精力的に、植物採集や薬用植物の研究に励み、人々のために農場を作り、植物に身を捧げました。
  
   1961年に発刊した「家庭で使える薬になる植物Ⅰ集」では牧野植物図鑑からの引用が多く、植物の名前由来や逸話などが載っていて「牧野先生」と尊称しています。
   それを読むと牧野富太郎は日本で一番の植物学者だったのだなあと感慨深いものがあります。

「家庭で使える薬になる植物Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ集」の3冊にはそれぞれ序文、自序文、Ⅲ集には自伝と年譜が載っています。
  「家庭で使える薬になる植物」はⅤ集(5集)まで刊行の予定だったのだそうです。しかし佐藤潤平はⅢ集の編集中に亡くなってしまいました。
  500種類くらい路地栽培可能な分かりやすい薬草の本を出す予定だったので、Ⅱ集では、読者からの薬草や治験の情報を呼びかけていました。242種で終わったのが残念です。
   
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 Ⅱ集の序から抜粋

  佐藤先生は尊敬あたわざる植物学者である。
  温厚な好々爺で、山の校長先生を想像するとよい。
  私の同僚の先生が佐藤先生と散歩していて、路傍の草木をかたっぱしから聞いたら、学名から俗名まで、それにまつわる面白い話を一々詳しく説明されて、一つも知らぬ草木がなかった。偉い先生だと、びっくりして私につげたことがある。
 高邁な理論ばかり述べられて、実際はあまり知っておられない人が世間には往々にして多いが、先生の述べられることは、この本を読まれてもわかるとおり、積年の植物学研究の蘊蓄(うんちく)のにじみでた水漏れとも考えられ、また滴りとも取れ、その学識の広さと深さが裏に潜んでいることを窺うことができる。
 それに羽織、袴の植物学でなく、普段着の植物学であって、日常生活に密着した点が面白い。
  田舎で育った私が山や野で遊んだ思い出の植物たち。
  身近な植物たち。
  それがそれぞれ薬となるという新知識に、読者の皆さんは言い知れぬ喜びをお感じになることであろう。

   序より  大村 明 医学博士

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「家庭で使える薬になる植物」3冊に収録されている薬草、薬物は242種です(中には殺虫剤としての薬用もあります)

Ⅰ集の写真はヤフオクからお借りしました。(きれいに撮れているので)
北鎌倉のゲンノショウコ

Ⅰ集
ゲンノショウコ、キンミズヒキ、センブリ、トウゴマ、キキョウ、ジャガイモ、ハブ茶(エビスグサ)、オケラ、クララ、アキカラマツソウ、キハダ、カキドオシ、クマヤナギ、ウツボグサ、ギシギシ、ヒガンバナ、ドクダミ、カキ、アズキ、ユキノシタ、ニワトコ、ゴシュユ、オオバコ、サボテン、ニンニク、シソ、クズ、ダイコン、ミカン、ネギ、サトイモ、カラシナ、カボチャ、ハス、ハトムギ、クリ、クチナシ、ハラン、ウメ、クコ、ツワブキ、ビワの葉、ツルナ、ヒシ、ヨモギ、イカリソウ、ニンジン、イボタノキ、ゴボウ、ナンテン、ヤクモソウ(メハジキ)、ヒキガエル、ドジョウ、ミミズ、卵油

Ⅱ集
アスファルトの割れ目からタンポポ

Ⅱ集
オナモミ、タンポポ、フキ、カラスウリ、キカラスウリ、キウリ、トウガ、ヘチマ、スイカズラ、キツネノマゴ、イワタバコ、ゴマ、キササゲ、イヌホオズキ、ナス、キランソウ、ネナシカズラ、ガガイモ、テイカカズラ、シャクナゲ、イチヤクソウ、アオキ、サンシュユ、ウイキョウ、ウド、キズタ、タラノキ、トチバニンジン、ザクロ、オトギリソウ、トモエソウ、ビョウヤナギ、ツバキ、マタタビ、アオギリ、ケンポナシ、ナツメ、センダン、イヌザンショウ、キンカン、コクサギ、ヘンルウダ、エンジュ、カワラケツメイ、サイカチ、ジャケツイバラ、ハギ、イチゴ、モミジイチゴ、アジサイ、ウツギ、ゲッケイジュ、マツブサ、アオツヅラフジ、ツヅラフジ、アケビ、オダマキ、カワホネ、カワラナデシコ、イノコズチ、ケイトウ、イタドリ、オオケタデ、ソバ、カンアオイ、イラクサ、イチジク、カナムグラ、シラカンバ、ヤマモモ、シダレヤナギ、オニノヤガラ、サイハイラン、シラン、ツチアケビ、イチハツ、オモト、エンレイソウ、カタクリ、ギボウシ、タマネギ、ミズバショウ、セキショウ、シュロ、チガヤ、オモダカ、ガマ、アカマツ、コノテガシワ、スギ、カヤ、イチイ、イチョウ、ソテツ、ウラジロ、カニクサ、ノキシノブ、ヒトツバ、サルオガセ、シイタケ

Ⅲ集の写真もヤフオクからお借りしました
毎日食べているヤブガラシ

Ⅲ集
アキノキリンソウ、アザミ類、ハンゴンソウ、シオン、ノボロギク、オグルマ、ヤブタバコ、サワギキョウ、ツリガネニンジン、ツルニンジン、ソバナ、ミゾカクシ、アカネ、カギカズラ、ヘクソカズラ、ハマウツボ、ヒキヨモギ、センナリホオズキ、ヒキオコシ、イブキジャコウソウ、オドリコソウ、ナギナタコウジュ、ハッカ、レモンエゴマ、クサギ、クマツヅラ、ハマゴウ、ヒルガオ、イケマ、リンドウ、ネズミモチ、エゴノキ、コナスビ、ヤブコウジ、ウマノミツバ、セリ、シシウド、チドメグサ、ノダケ、ハマボウフウ、ミシマサイコ、ヤブジラミ、ハリギリ、ヤツデ、ミソハギ、アキグミ、ナワシログミ、キブシ、スミレ、サルナシ、ヤブガラシ、ノブドウ、ヤマブドウ、エビズル、ムクロジ、トチノキ、ニシキギ、マユミ、モチノキ、アカメガシワ、ユズリハ、ニガキ、カラスザンショウ、サンショウ、カタバミ、デイコ、ムラサキツメクサ、ネムノキ、ノイバラ、ハマナス、ワレモコウ、クサボケ、ダイコンソウ、アカショウマ、ベンケイソウ、ナズナ、タケニグサ、ヤマエンゴサク、クサノオウ、クロモジ、ハスノハカズラ、メギ、オウレン、オニバス、ホウノキ、サネカズラ、チョウセンゴミシ、コブシ・タムシバ・ハクモクレン、ハコベ、スベリヒユ、ヤマゴボウ

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