サラメシを好きになった

私が学生のころ、親はサラメシという番組を見るのが好きだった。チャンネル権はほとんど私にあったが、サラメシだけは楽しみで、観たいのだと言っていた。なんとなく付き合って一緒にみていたが、なにが好きなのかよく分からなかった。人を傷つけたりする内容ではないし、良質な番組だとは思ったが、基本的には一般のひとのお昼ごはんを紹介するだけ。笑える内容ではないし、勉強になるわけでもない。
それは、私がまだ子供で、朝夕ごはんは家で親が作ったものを、昼は学校で、やはり親が作った弁当を食べていたからだ。ごはんは自分が頭を悩ませるものではなく、自動的に出てくるものだったから。
働きはじめ、一人暮らしを始めると、ごはんは自然に出てくるものではなくなった。職員食堂のメニューが楽しみな日があったり、朝寝坊してコンビニでパンを買ってすませたり、忙しくて、仕事の片手間にウィダーinゼリーを吸い込んだり。
ふと、テレビをつけるとサラメシをやっていた。大人になってからみると、とても面白かった。年が違っても、職種が違っても、みんな自分と同じように、働いて、ごはんが楽しみな日があったり、ただおなかをとりあえず満たす日があったりする。サラメシは、ごはんを紹介するだけでなく、仕事ぶりや生き方を紹介する番組なんだ。
だから多くの人がみるんだな、とやっと分かった。

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