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じゃんけん

幼い頃から争いごとが嫌いだ。
喧嘩なんてもってのほか。
だから、両親が些細な喧嘩をしているだけで胸がドキドキして家を飛び出したくなる。
玄関をパーンッと開けて、「もう、こんなのいやっ」と少女漫画のように泣きながら家を飛び出す自分の姿や、このままどちらかが刺されて死んじゃったらどうしよう…という最悪の事態も妄想してしまう。
ただ、案の定時間が経てば両親は仲直りしてるし、刺された形跡もない。私も外には飛び出さず家で普通に過ごしている。

学校にも試練がたくさんあった。
学校なんて毎日が争いの連続だ。
まず、何をするにも「じゃんけん」だ。
グー、チョキ、パー、
このとぼけたネーミングの3種類で勝ち、負け、あいこが決まる。
しかも、学生にとっては結構重要な場面でじゃんけんは採用されがちで、係決め、グループ決めなどこれからの生活に密に関わってくるものが、じゃんけんによって決められるのだ。
人気の係なんかはもう大変だ。人数オーバーしてるからじゃんけんで勝ち残った数名しか選ばれない。
みんな真剣な表情である。
手を絡めて向こう側を覗くポーズをする人、多数。
何かが見えるらしい。
何出す?とお友達同士でウキウキコソコソ会議する人。負ける時は道連れ作戦。
なんも考えてなさそうな人。

せーの!
「っっじゃーんけーん…」
「っっ最初はグ…」
かぶりがち。
「おい〜!っんだよ!」
すぐキレる人。
「どっちにする?最初はグーでいい?」
「いいよ!」

再び緊張の時間。
「さいしょはグー、じゃんけんぽいっ」
ーー見極めの時間ーー
「っしゃぁぁあああ!!!!」
「うっわー!さいっあく!!」
宝くじにでも当たったかのような喜び方をする人。
この世の終わりくらいの絶望感を醸し出す人。
その中でも私が不快に思う人は
「ってか◯◯さ!あと出しだっただろ!ずっる!!!」と負けた人が勝った人にいちゃもんつけるやつだ。
勝ったとしても、手放しで喜べなくなる。
険悪ムードになるのだ。
だから私はなるべく人の少ないところに行くようにしていた。だいたい、人気のないめんどくさいやつが残ってたりするんだけど、じゃんけんで負けてそこに就くよりよっぽど気がラクだ。
逆も然り。
じゃんけんで勝って人気のところを獲得したところで、どうも罪悪感が残ってしまう。
あぁ私なんかが勝っちゃったから◯◯機嫌悪くなってる…とか。
80%私の思い込みなんですが。
だからじゃんけんが苦手だ。
大袈裟だけど、争いごとの元祖だ。
だからといって、「じゃぁ、じゃんけん以外に決める方法は?」と言われたら
「特に…」

そこまでして係決めやその他じゃんけんで決められそうなものに体力、精神力を使いたくないだけで。
究極のめんどくさがり屋で妄想癖。








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