永江第二トンネルのこと 〜『ドライブ・マイ・カー』フェリー乗船までのルートを考察〜

さて。そうは言っても『ドライブ•マイ•カー』、言いたいことが生まれる作品であることは間違いありません。私はどちらかというと、先行する文章をたくさん読んだのちに、作品を観たいタイプです。人の言うことをあまり聞かない、信じられない人だからかもしれません。「つまらない」と言われた方が、観たくなる天邪鬼なのです。もちろん、自分が「観たくない」ものはあまり観ようとはしません。

まず、先行する文章としては、評価コメントがあります。これは各媒体に大量のものがありまして、当然複数媒体に、繰り返し肯定、ないしは否定的表現を書く人がおられるわけではありますが、かなり多くの言葉が掲載されておられます。手始めにnoteを検索したら3,000件もあり、しかも、上位の人々の中には、有名な研究者や批評家の方もおり、すでに言わんとしていることは、全てこの中にある、と理解しました。

ですので、あとはもう、ただ自分の思ったことしか書くことは残されていません。そうは言いながらも、やっぱり何かを書き残しておきたい。そんな気分です。

一つは、広島から北海道へ行く時に、一体どこを通っているのか、という問題です。

ワーニャをやるはずだった高槻が不祥事を起こし、代役として総合演出の家福が打診された時、彼は悩み、ドライバーのみさきの実家を見せて欲しい、と頼み、北海道まで古いサーブで向かいます。代役を受けるかどうか2日で、と言っているのに、2日で広島から北海道は無理じゃねえ、しかもこの車で‥と思います。

その途中で、とあるトンネルを通ります。このトンネルの看板がチラリと見え、私はNetflixで観ていたから、停止して拡大してみると、永江第二トンネルと書いてありました。

私は上越市に認知症を患った義父母の面倒を見に、諏訪や松本、あるいは東京から、長野道、および上信越道、あるいは北陸道を通って親戚のいる朝日町や魚津まで、多い時では週3回往復するという状況がありました。なので、このトンネル、どこかで観たことがあると思ったら、永江第二トンネル、すなわち上信越道を上越高田方面に向かって、豊田飯山ICと信濃町ICの間にあるトンネルの一つです。

上信越道のトンネルは、川中島あたりですと、入り口に謙信と信玄の一騎打ちのレリーフがあったり、話題に事欠かぬものが多いです。

私は、そうか二人は、広島から中央道に行き、上越ジャンクションを通って、新潟港のフェリーを目指しているんだなと思いました。

しかし、次に山間部の下道を走り、次に糸魚川の海沿いの高速道路を走っています。私は糸魚川に義父の姉がおり、糸魚川火災(2016)の際に、被害に遭いました。その際何度も、魚津、上越間を往復しています。あの海の見えるトンネルは国道8号線の親不知付近のスノーシェッドです。

そして、コメリに寄って休憩してます。コメリは新潟県の人だとよく知っているホームセンターです。最近はパワーコメリなる巨大店舗もできています。ここも見たことがある…おそらく上越国分店の駐車場ではないかと思われます。

そして、田園地帯の下道を走る風景が続くのですが、もしフェリーに乗ろうと上越から新潟に向かおうとしているなら、山を背にする方向が逆な気がします。そして、下道の連続。新潟の下道を舐めたらいけません。1日でフェリー乗り場にまで着こうとするなら、高速を使わなければいけません。なぜ使わないのでしょうか。

どこかのコメントでどなたかが指摘してましたが、フェリーを使うなら、広島からは舞鶴の方がいいのではないか。舞鶴なら夜遅くに出て、翌日の夜に小樽に着く便があります。敦賀でも、翌日夜に苫小牧東に着く便があります。なぜ、新潟を、しかも、永江トンネルを使って、糸魚川に出て、上越と思しきコメリに寄って、山脈を背にして走り、下道でフェリー乗り場に向かったんでしょうか。

そして、あまつさえ、上越ICを糸魚川方面から、上越高田と新潟方面に分岐するショットが映り、彼女たちは新潟へと向かいます。じゃあ、今までどこを走っていたんでしょうか。まさか、広島から新潟のフェリー乗り場に向かう行程として、この一連のチグハグなショットを構成したのでしょうか。

この上越ICから新潟港へ向かう高速道路のトンネル内で、家福とみさきは重要な話をします。そしてフェリー。以前にタバコのポイ捨て描写で色々あって、書き直したところ。だから、北海道の地名も架空のもの(だと思う)。でもロケ地は赤平。

なんかいちゃもんつけてるみたいになっちゃってるけど、そんなつもりはありません。

何か言わなきゃと思っただけ。







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