クヨクヨしている弱メンタル 〜ある社の人間模様 3〜
朝、上司の羅さんに、昨日のことを相談した。気にすることはない、という返答だった。羅さんは、人を冷静に詰めるのが得意な方だが、この方から見ると、未熟者は弱メンタルに思えるようだ。羅さんには、気にならないものが、未熟者には気になるということに過ぎないようだ。
こんな羅さんも、かつてクレーム電話の応酬で、一時期休職していたことがある。だから、決して、生粋の強メンタルというわけではなく、正しさが自分の側にある時には絶対的な強メンタルになれるのだ。
未熟者は、正しさの客観性を信じることができない。未熟者にとって正しくあることも、他人から見ると正しくないかもしれない、という不安がある。そのため、今回も正しさがどうあろうと、自分がその立場だったらこういう気持ちになるだろうなあ、と相手に変に共感した結果、自分を自分で許せない気持ちになっている。
許せない自分も、許して欲しい自分も、同一人物である。その矛盾に引き裂かれているのが、おそらくは気落ちしているメカニズムである。
羅さんと後輩の風間くんと打ち合わせだったが、風間くんは自分がされた嫌なことは覚えている口だが、自分がしたことは覚えていないので、あまり私のモヤモヤに共感できないようだった。
風間くんは心理学を得意とする理系壮年で、クレヨンしんちゃんにいじられるような真面目さが似ているので、風間くんだ。羅さんは、ラオウのようなメンタルなので羅さん。
とりあえず羅さんには、実家に帰ると言って、午後有給を取りました。羅さんがそれ信じたかどうかは知りません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?