嫌な思い出 〜Recycle articles〜

以前、子どもが「お誕生日会」なるものに呼ばれた。

それで、俺は、プレゼントを買って行かなければならないなあ、などと思っていたものの、余裕もなくぼんやりと時間が過ぎて、直前にエイヤっ、と子どもからの情報を頼りにして、プレゼントを決めた。

すっかり忘れていたのだ。俺が、こういうとき、斜め上のものを贈ってきたことを。



小学校のとき、同級生のMくんの誕生会に呼ばれた。

プレゼントを買うことを忘れていて、自分の小遣いで買えるものといったら、近所の文房具屋で、千代紙のような折り紙を2セット買うくらいだ。それで参加した。

そうしたら、ほかの参加者たちのプレゼントはみな「電動歯磨きセット」やら、なんやら、で、結構高価で機能的なものを贈っていることに気付いた。

俺は自分の千代紙を渡すのをためらったが、何もないよりはマシ、と渡した。Mくんは明らかに困惑。

でもMくんのおかあさんは気のきく人で「あら、きれいね、いいじゃない千代紙」と、俺の落胆を察してか、過剰に喜びを表現してくれた。僕は複雑な気持ちになったが、それでも、助けられたんだろう。

しかし、それに対して、後に「電動歯磨きセット」を贈ったWくんが、「なんであんなショボイもので、そんなに喜ばれるのか、わからない。だからパッパルデッレは嫌いだ」と吹聴した。

そのことは、俺もよくわかっていたよ、みな、俺のプレゼントをショボイと思っていたからこそ、そういうバランスをとったんだよ、と俺自身もわかっていたから、いくらWくんが筋違いで怒ろうとも、一言もなかった。



子どもの招待されたお誕生日会に、5歳ぐらいの男女が集まるというので、子どもに、「何をいまその子は関心があるのかなあ?」と聞いた。

「ソフィア」

ソフィアって何だ・・・?

調べてみると、sophia the first・・・というアニメがあるようだ。俺は、そのソフィアというキャラクターが描いてあれば、何でもいいのかな、と「しまむら」のおもちゃ売り場で、粘土と折り紙とハンカチを買った。

もうここでだいたいオチが解っただろう。

で、当日、子どもと一緒に出席した妻からLINEで、「あー、プレゼント読み違えた」と送られてきた。

それは、価格が我々のはしょぼかったのかな、と思った。それくらいなら仕方がない。

でも、後で聞いたら、贈られたプレゼントに対して、明らかな態度の相違があったそうだ。俺の買った粘土や折り紙は、中身も見ずにソファの上に置かれた、ということだった。

一番人気だったのは、ソフィアのキャラクターが書かれたハンドバッグのようなもの。そうかー、と思って、皿を洗いながら、先に示したMくんのお誕生日会を思い出し、そして、俺は、そんな気持ちになるなら、もう、物を贈ったり贈られたりすることはまっぴらだ、と考えたことを思い出した。

社会常識を知らない俺は、お車代、というのを知らなかった。結婚式で上司にお車代を渡さなければならないと言われたので、渡したら、それがそのまま祝儀代として贈られて来た。何だこれは、社会って無駄だな、と思ったりした。


子どもたちは、楽しく遊んだから良かったのだが、それにしても、このエピソードの中で、僕は一番何に傷ついたのか。もちろん、他の子が渡したプレゼントは、喜んだり喜ばなかったり、ということは、あるだろう。でも、見ないで放置ってのは、いくら子どもでもねーだろ、という部分に憤ったのは、もちろん。

そして、次にやはり、俺のプレゼント選択の勘の悪さということを失念していたことを反省した。

いつも、俺は、プレゼントで間違う。間違い続けて来た。

例えば、好きだった西洋哲学の女子によかれと思って岩波文庫のショーペンハウアー『自殺について』を贈ったり。

小学校の同級生に同じメンコをあげようとして、最後の1人のメンコに折れ目がついていたので悪いかなとやや大きめのメンコで絵柄は違う新品をあげたら、「何で俺だけ違うんだよ」と泣いて帰られたこととか。

贈り物とか、贈られる物とか、それで気持ちが上下するくらいなら、一切なしにしてほしい、と願った。

ゴメンな、俺に本とか献本してくれても、俺は、いつもナシのつぶてだろ?

SNSとかでも、いつも、誕生日とか、挨拶もしねーだろ?

俺さ、嫌なんだよ。気持ち込めて贈ったものに落胆されたりしたりするのがさ。

自分は何度も斜め上のものをあげて来たし、そのたびに微妙な反応を返されてきたり。

だったら、贈られないし、贈らないし、それで結構と思ったんだよ。



小さい話をしてしまった。



俺が人間ってこんなもんかー、なんて思ったきっかけは、誕生日会のプレゼントなんだよね。そのうちあんまり呼ばれなくなったけど、俺が贈るものがいつも、変なもので、あんまり喜ばれなかったんだよね。

こっちは、俺が好きだから、きっと好んでくれるだろうなんていう甘い考えだったし。あからさまに不満、落胆、無視を決め込まれると、さすがに、気分も落ち込んだしな。

それで、喧嘩して誕生日会を飛び出して、家でファミコンしてたら、その会に出てたIくんが俺んちまで来てくれて、一緒にゲームをやったこととか。

気持ちが大事?

くだらねえ。ヤキがまわった。

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