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「大阪しぐれ」/都はるみの円熟の極みの楽曲です。

 「都はるみ」について記したのだが、なお少し「大阪しぐれ」について述べさせてもらいたい。
 この唄は昭和55年から昭和56年にかけて世に広まった。作詞をした吉岡治が暮れの日本作詩大賞を受賞し、レコード大賞では最優秀歌唱賞を受賞している。実際その略歴の通り、その歌詞の韻律が大きな特徴である。作曲はデビューからの師匠である市川昭介であるが一見、詞とミスマッチのようなゆったりとした妙な明るさが感じられる曲になっている。
 しかし、そういう詞と曲の要素が都はるみのこぶしで表現されたとき、異次元に飛躍したような姿を見せてくれる唄である。
 これまで私が見た中では、昭和55年既述した日本作詩大賞の授賞式のときの歌唱が最も洗練された素晴らしい出来の「大阪しぐれ」だと思うが、それは、
「深く心がこもっているがきわめて洗練されている、そしてはるみさんと歌が不可分一体となっている、哀しい韻律を歌いながら、駘蕩としたメロディーと和すかのようにしっとりとそしてしっかりと恋の喜びが謳われている」と心から感じられる。
「デビュー以来の真摯な取り組みの極まった先に、昇華されてできた美しい結晶のような作品であり、間違いなく都はるみの円熟の極み」
だろうと思う。
 テクニックを極めた女性歌手が持ち歌へすべてをかけて入れ込み、それを洗練の域まで昇華したとき、歌姫と言われるようになるのだろうと思う。



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